第二次世界大戦下の激戦地・サイパン島でアメリカ軍を翻弄し、“フォックス”と呼ばれ恐れられる一方、多くの民間人を守り抜き、最後には敵であるアメリカ人からも称えられた日本兵、大場栄大尉。その戦いを日米双方の視点から描いた『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』の製作報告会見が11月9日にザ・リッツ・カールトン東京で行われ、キャストの竹野内豊、ショーン・マクゴーウァン、井上真央、山田孝之、平山秀幸監督、チェリン・グラック監督らが出席した。
大場大尉を演じた竹野内は「日本が圧倒的に劣勢だったと言われるサイパン島の戦いで、自決することよりも生き抜くために戦った大場さん、そして、大場さん率いる47人の兵士たちの500日間をどうか見届けていただければ」と挨拶。米軍大尉を演じたショーンは、「戦争をしていた日本人とアメリカ人がチームとなって、65年前の戦争を描くことは非常に意味のあることだと思います」と、映画製作の意義を訴えた。
今年の5月20日から7月18日の約2ヵ月間に渡り、タイで撮影が行われた。竹野内曰く「想像を絶する過酷な撮影」で、井上も「虫や暑さやスコールと戦いながら撮影した」と語るハードな日々。井上は「私も大変でしたけど、何よりも、大場大尉(竹野内)と大尉が率いる兵士さんが大変だったはず」と言い、日に日に追い込まれていく竹野内たちの表情が恐くもあり印象的でもあったと話してから、「とにかく、会う度に痩せていく大尉が心配でなりませんでした」と振り返った。
この言葉に竹野内は「本当に太れないんですよね」と苦笑い。竹野内の様子については山田も「(見ていて)かわいそうでした。どんどんやつれていって、どんどん目がギョロギョロしていって。大丈夫だろうかと思っていた」と明かした。
この過酷な日々について竹野内は「ペットボトル10本くらいの水を飲んでもトイレに行かない。全部、汗で出ていってしまうくらい暑かった」と振り返ってから、「でも、夜はみんなでご飯を食べに行ったりとか、楽しい思い出もたくさんあります」と笑顔を浮かべていた。
約30年前に元米軍海兵隊員が出版した「タッポーチョ『敵ながら天晴』大場隊の勇戦512日」をもとにした本作。出版当初から映画化を希望していたという奥田誠治エグゼクティブプロデューサーは「30年経って、やっと映画化にこぎつけた」と喜び、「現在、日本人は政治的にも経済的にも追い詰められたところがあるので、この映画を見て、生きる勇気やヒントなどが伝われば」と熱い思いを訴えていた。
また竹野内も、「(日米の戦いから)1世紀も経っていないのに、こうやって(日米が)協力し合ってこの映画を作れることは本当に素晴らしいこと。当時、生きていた方たちの存在は、絶対に忘れて欲しくないと思いながら演じていました」と訴えていた。
『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』は、2011年2月11日に全国公開される。
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