元高級娼婦という過去を持ち、36歳で自殺したカナダ・ケベック州生まれの女性作家ネリー・アルカンの世界を本・映画・舞台と3ヵ月連続で発売・公開・上演するプロジェクト「Discover Nelly Arcan(通称:DNA)」。その最後を飾る舞台「この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌」が11月4日に天王洲・銀河劇場ほかにて開幕するのに先駆け、同日、開幕直前会見および公開フォトコールが行われた。
本公演は、ネリー・アルカンの残した4編の小説をコラージュし、カナダ人演出家マリー・ブラッサールが舞台化。舞台には10個のキューブが置かれ、出演者は1人ずつ各部屋に入り、オランダの娼館の飾り窓のごとく閉鎖されている空間で、お互い顔も見えぬまま、イヤーモニターから聞こえる音・共演者のセリフだけを頼りに演じるという斬新かつ難易度の高い演出だ。
出演者は松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、霧矢大夢という6人の女優と、国内外で活躍する奥野美和というダンサーの合わせて7人。彼女たちが会見に臨んだ。
演出家のマリーは、今回、演出したキャストたちについて「日本の女優のみなさまとは、謙虚な気持ちで本当に楽しくお稽古させていただきました。1人ひとりとても素晴しい方々で、深い知性と才能をお持ちのみなさまとご一緒できて本当に嬉しかったです」とコメント。
松雪はそんなマリーについて「日々、マリーさんの感性に圧倒されながら、どこまで私たちがネリーの精神を体現できるかというところで緊張感を持って初日に臨みたいと思います」と語ると、「ネリーの痛みはあまりに深く、死に向かって行く彼女の精神状態を考察しイマジネーションを進めていく中で、自分の中にある潜在的な痛みが、ネリーの持つ痛みとヒットすることが何度かあり、その度に苦しくなって身動きが取れなくなりました。ただ、ネリーの言葉自体が強く美しいので、しっかりとそれを伝えることにフォーカスしていました。そしてお稽古する中で、各部屋でのことがバトンとして渡され、本当にこの作品は全体を通して1つなんだと感じました。もちろんテクニカル要素もふくめて、すごく計算された劇行動に圧倒されつつも、しっかりと体現できればいいなと思っています」と話した。
初音は「ネリーの36年間がなければ、私は今ここにいないだろうなと思っています。というのも、彼女の人生によって与えられた、今回のカンパニーとの出会いにとても感謝を感じているからです。はじめは彼女の痛みと対峙するのが辛かったですが、部屋の中にいるとガラスが鏡のようになっていて、まるで自分と対峙しながら演じているようで、ネリーもそうだったのかなと感じ、今はネリーの魂を自分の中にぐっとこめて演じられたらと思っています」と話していた。
舞台「この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌」は下記5劇場で順次公演となる。
◆東京公演:11月4日〜11月19日 @天王洲 銀河劇場
◆広島公演:11月23日 @アステールプラザ広島大ホール
◆北九州公演:11月25日〜26日 @北九州芸術劇場 中劇場
◆京都公演:12月5日〜6日 @ロームシアター京都 サウスホール
◆愛知公演:12月9日〜10日 @穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
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