第10回TAMA映画賞の授賞式が11月17日、東京・パルテノン多摩で行なわれ、特別賞を受賞した『モリのいる場所』の山崎努、沖田修一監督が登壇。スタッフ・キャスト一同が受賞対象者となったが、山崎は「特別賞受賞は嬉しいです」と笑顔を見せると、共演した故・樹木希林さんをしのび「ここに樹木希林さんがいればもっと良かった。残念ですが、仕方ありません」としんみりと語った。
TAMA映画賞は、国内の映画賞のトップバッターとして、実行委員会が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝を込めて表彰するもの。
山崎と樹木さんは、「文学座」に所属していた先輩・後輩の間柄だが、本作で初共演をはたした。「プライベートではあまり話しことはなかったんです」と明かすと「撮影に入る前、病気で体調がすごく悪いと聞いていたのですが、いざ現場に入るとものすごく元気で、僕が熱中症寸前でダウンしたとき、彼女に助けてもらったんです。一番元気だったんですよ」と思い出話を披露していた。
また、本作に出演し、最優秀新進男優賞を受賞した吉村界人は、司会から、現場で樹木さんからジュリー(沢田研二)に似ていると言われたというエピソードに触れられると「とんでもないです」と謙遜。続けて「樹木さんにも山崎さんにも、結構可愛がっていただきました」と懐かしそうに撮影を振り返っていた。
最優秀作品賞を受賞した『万引き家族』に出演し、自身も最優秀女優賞を受賞した松岡茉優は、カンヌ国際映画祭に樹木さんと一緒に参加したことに触れると「私たちが参加した日は、雨が降ったり止んだりという天候だったんです。私は雨が降ると少し沈んだ気持ちになっていたのですが、希林さんが『雨のカンヌも見られて良かったわ』っておっしゃったんです。雨の日しか嗅げない匂いがあったんですよね。そんなひと言でも希林さんの懐の深さを感じました」と述懐していた。
(text&photo:磯部正和)
■第10回TAMA映画賞の受賞者・作品
《最優秀作品賞》
・『万引き家族』(是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同)
・『寝ても覚めても』(濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同)
《特別賞》
・沖田修一監督、及び山崎努・樹木希林さんはじめスタッフ・キャスト一同 (『モリのいる場所』)
・上田慎一郎監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『カメラを止めるな!』)
《最優秀男優賞》
・東出昌大 (『寝ても覚めても』『菊とギロチン』『パンク侍、斬られて候』『OVER DRIVE』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』)
・松坂桃李 (『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』)
《最優秀女優賞》
・安藤サクラ (『万引き家族』『DESTINY 鎌倉ものがたり』)
・松岡茉優 (『勝手にふるえてろ』『万引き家族』『ちはやふる −結び−』『blank13』)
《最優秀新進監督賞》
・今泉力哉監督 (『パンとバスと2度目のハツコイ』)
・三宅唱監督 (『きみの鳥はうたえる』)
《最優秀新進男優賞》
・吉村界人 (『モリのいる場所』『悪魔』『サラバ静寂』『ビジランテ』)
・吉沢亮 (『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』『銀魂2 掟は破るためにこそある』『ママレード・ボーイ』『悪と仮面のルール』『レオン』『斉木楠雄のΨ難』)
《最優秀新進女優賞》
・深川麻衣 (『パンとバスと2度目のハツコイ』)
・伊藤沙莉 (『榎田貿易堂』『パンとバスの2度目のハツコイ』『寝ても覚めても』『blank13』)
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