チャン・ツィイーが審査委員長をつとめる第32回東京国際映画祭の審査委員団が、10月29日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた記者会見に出席。昨晩の華やかなセレモニーとは異なり、リラックスした表情で会見に臨み、審査委員をつとめる思いや映画祭の印象などを語った。
審査委員にはプロデューサーのビル・ガーバーとジュリー・ガイエ、昨年の東京国際映画祭で監督作『氷の季節』(18年)が審査員特別賞を受賞したマイケル・ノアー監督、日本からは『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17年)『ここは退屈迎えに来て』(18年)などで知られる廣木隆一監督が名を連ねる。
はじめに映画祭の印象を問われたツィイーは「東京国際映画祭ではこれまでに中国の作品がたくさんの賞を受賞している。チャン・イーモウ監督がなんと主演男優賞を受賞したこともあります。最初に持った印象は、非常にオープンで素晴らしい国際舞台だということです」と述べ、「今年は14の作品がコンペティション部門に選出され、多様な国の映画が選ばれていて合作も多い。表面的な多様性ではなく、映画を選ぶ視点が幅広いと感じます。中国の作品だからとひいきせず(笑)私も公正に審査します」と語った。
審査の基準を聞かれたガイエは尊敬するフランス人映画監督、故アニエス・ヴァルダの言葉を引用。「映画は問いに対する答えを提示するものではなくポエトリー(詩)なのだと。私もこの言葉と同じ意識で審査に臨みたい」と話した。
記者からは「東京国際映画祭の国際的な発信力をもっと高めるにはどうしたら良いか?」という鋭い質問も飛んだ。廣木は「東京はビッグシティだが、それとはちがう。国がもっと文化に対してお金を出してくれれば」と率直に語り、隣のガイエが拍手をおくる場面も。ツィイーは「素晴らしい映画祭とは素晴らしい作品がたくさん上映されていること。映画は素晴らしい文化を世界に伝達する手段だからです。(カンヌ国際映画祭の)パルムドールを受賞した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』(19年)や『万引き家族』(18年)など、作品が良ければ観客も映画についてもっと話題にすると思います」と述べた後、「心配しなくても大丈夫」と記者に笑顔を向け、「この映画祭で素晴らしい作品に出会えると思います」と期待を寄せた。
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