原田芳雄、松田龍平らが扮する9人の男たちが刑務所から脱走、一台のバンに同乗し旅を続けるなかで失ったものを取り戻していく姿を描いた『ナイン・ソウルズ』。この映画が9年ぶりにニュープリントで劇場公開され、初日を迎えた6月23日に渋谷ユーロスペースで行われた舞台挨拶に松田と豊田利晃監督が登壇した。
冒頭、豊田監督は「『ナイン・ソウルズ』の公開が9年前の7月19日で、芳雄さんの命日が7月19日。この上映は芳雄さんが仕掛けているのかなと思いました」と挨拶。撮影当時、10代だったという松田は「みんな年上のため、ほとんど喋れなかったが、瑛太が出てくるシーンでは年が近かったからホッとした。ラップを歌っている瑛太が映ってます」とコメント。
松田は本作の撮影中に誕生日を迎えたそうで、原田から「クルマやるよって言われ、すげぇ、クルマくれるんだと思ったら、赤いフェラーリの模型だった」と思い出を振り返ると、原田については「オヤジに近い人だったから、父親に近いものを感じたいと思って接していた。もっと話したいなと思ったけど、やっぱり自分は10代だったし、どう接していいのかわからない気持ちもあった」と当時の心境を吐露した。
劇中では原田と松田が取っ組み合いをするシーンがある。その撮影では「何度も芳雄さんの顔を田んぼに埋めた」と話す松田だが、「芝居は本気でやった方がリアリティが出て正しいと思っていたけど、アクションでは実際に当てずに当たっているように見せなくてはいけない。芳雄さんはすごく殺陣が得意で、芳雄さんの家に行ったときも殺陣の練習をつけてくれた。リアルにやること以外に、役者としての技術も大切だと感じさせてくれた」と話した。
一方、豊田監督は、撮影現場の原田について「アウトローな原田芳雄が見たいと思ったので、ぼくは最初から口を聞かず、ケンカ体制で最後までやりつくしました」とコメント。だが、撮影が終わってから原田がインタビューで「また、一から始めないといけない」と語っていたのを知り、「それまで僕は芳雄さんを追い込めた、勝ったんじゃないかと思っていたんですけど、あ、負けた。器がでかいと思いました」と語っていた。
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