全米大ヒットのウエスタン『トゥルー・グリット』やアカデミー賞受賞作『ノーカントリー』など話題作を数多く手がけてきたジョエル&イーサン・コーエン兄弟監督。彼らが、自らが育った60年代の中西部を舞台に手がけた私的要素の強い作品が『シリアスマン』だ。
主人公は、ユダヤ人コミュニティで家族と暮らす平凡な中年男。長年連れ添った妻から三行半を突きつけられた彼の身に起こる不条理で面倒な出来事をシニカルかつコミカルに描き出す。
この映画について、ジョエルとイーサンの2人に話を聞いた。
──あなた方の子ども時代のことを描いているのに、なぜ息子のダニーではなく親のラリーに焦点を当てたのですか?
イーサン:作品に取り組み始めたときは、大人の視点と子どもの視点がもっと等分に分かれていたと思うんだけど、脚本を書いているうちに大人の方に引っ張られてしまったんだ。理由は分からないけど、とにかく僕たちはこの作品を自伝的なものだとは思っていない。舞台となっているのは、確かに僕らが育った場所なんだけど……。
ジョエル:僕らは、ダニーのキャラクターが自分たちを代弁するようなものだとは思っていない。僕らはヘブライ学校に通い、バルミツバ(ユダヤ教徒の成人式で13歳のときに行う)を行い、同じようなコミュニティで暮らし、父親は(映画と同じ)大学の教師だった。でも、ラリーとダニー親子に起こったことはすべてフィクションなんだ。
──この作品が2人の私的な作品と言われていることについてどう思いますか?
イーサン:ある意味ではそうだと思う。この映画で描いているのは僕らが育った場所で、時代だ。出来事については自伝的なものではないんだけど。
ジョエル:私的ってどういう意味なのかな? 僕らはユダヤ人だ。それが僕らのアイデンティティーの重要な部分を占めている。映画を作る過程で、自分が何者かということが作品に影響することは確かだ。まあ、僕はこれを私的な映画だとは思わないけど、みんながそんな風に言うのは理解できるよ。
──この映画はスターも出ておらず、地味な作品です。企画した時期が今のように危機的な経済状況だったら、この映画は完成していたでしょうか?
ジョエル:この企画をスタジオに持ち込み、資金調達を頼んだ2年前より今のほうが、こういう映画を作ることは難しくなっていると思うよ。でも、これまで僕らが一緒に仕事をした(製作会社の)フォーカス・フィーチャーズとワーキング・タイトルの人々は、全面的に僕らの力になってくれた。この脚本は『ノーカントリー』(07年)の前に書かれていて、アカデミー賞受賞前に融資してもらっていたんだから。
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