今年23歳なのに、この悩ましさ。20代前半といえば、まだ少年じみた頑さや健気さを売りにする俳優も多いなか、『アンナ・カレーニナ』のアーロン・テイラー=ジョンソンは断然、“恋に生きる男”がハマる色気の持ち主だ。
・【週末シネマ】舞台を思わせる斬新な舞台装置で際立たせる、社交界を揺るがした悲劇の恋
彼が演じるのは、文豪・トルストイが著した19世紀ロシアの社交界が舞台の恋愛物語の主人公。歳の離れた政府高官と結婚したアンナと道ならぬ恋に落ちる若き将校・ヴロンスキー伯爵だ。金髪に軍服、と、わかり易く下駄を履かせてもらった外見ではあるが、とにかくその眼差しが官能的。大勢がダンスに興じるパーティ会場で、遠く離れたところからアンナに投げかける流し目、彼女の手の甲に挨拶のキスをするときの上目遣いの瞳、恋に理性を失くして苦しむ表情。常に潤んでいる瞳のおかげで、先端がちょっとカールしていてコントみたいな口ひげさえも素敵に見えてしまう。
『キック・アス』(10年)で、ネット購入のコスチューム姿でヒーロー活動に勤しむオタク高校生を演じたときには片鱗すら見せなかったのに、わずか3年の間になんと色っぽく成長したことか。公開中の『野蛮なやつら』でも、平和主義だが愛する女性を救うためなら、どんな手段も辞さず、自ら身体を張る若き麻薬王を演じている。
声にはまだ少年っぽさを残しながら、ここまで急激に艶かしく成長したのは、おそらく私生活の変化だろう。彼は2009年にジョン・レノンの若き日を描いた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』に主演し、監督で23歳年上のサム・テイラー・ウッドと19歳にして恋に落ち、2児をもうけた後、昨年6月に結婚。それを機に、名前も妻の名字を付け加えたものに変更している。
今年後半に公開予定の『キック・アス2』では相変わらずのオタクっぽさをまき散らしつつ、見事に割れた腹筋も披露し、ややセクシー路線なサービスもある様子。現在は、先日渡辺謙の出演が発表になったハリウッド版『GODZILLA』を撮影中だ。
ちなみに、アンナの夫・カレーニンを演じているのはジュード・ロウ。まさしくアーロンの前任者たる“色男”役者だった彼は今回、薄くなった頭髪とひげで美貌を封じ込め、妻を取られる役どころに回っている。地位もあり、高潔な人柄で知られる男の秘めた屈辱、苦悩、怒りを静かに表現するジュードの名演も見逃せない。見てくれの良さを消すと、才能が残る。役者としての真の価値が現れたのだ。20年後のアーロンはどうなっているだろう? ジュードと同じ道を歩んでいてもらいたいものだ。(文:冨永由紀/映画ライター)
『アンナ・カレーニナ』は3月29日よりTOHOシネマズ 日劇ほかにて全国公開中。
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