『スラムドッグ$ミリオネア』子役の身売り話は嘘?取材手法に批判
現在、日本でもヒット中の『スラムドッグ$ミリオネア』。この中でヒロインの子ども時代を演じたインド人ルビーナ・アリちゃん(9)を父親が人身売買しようとしたというニュースが報じられたが、インド警察は、捜査の結果、父親が娘を売ろうとした事実を裏付ける証拠は何もないと、発表した。
まず英大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドが、ルビーナちゃんの父親が、アラブの大富豪のふりをした記者が持ちかけた養子縁組に20万ポンド(2800万円)で応じたと報道。「家族と娘の将来のために最善の方法をとりたい」と父親が言い、叔父も「この子はアカデミー賞をとった特別な子だから」と言って当初の値段を4倍につり上げたが、後にこれがおとりだと分かると、「娘を売るつもりはない」と否定した──という内容だった
初めは眉唾ものの報道という反応も多かった。だが、実際スラムの街中で、乳児だったルビーナちゃんを捨てた生みの親が、現在の彼女の継母を相手に「娘を返せ!」と取っ組み合いのけんかを仕掛けたことがニュースになったことから、信憑性が増していた。
貧困を理由に子どもを売りに出すということが少なくないインドで、人々の弱みにつけこむような先進国メディアによる取材態勢には、批判の声が挙がっている。その一方、出演作がアカデミー賞8部門を受賞して知名度が急上昇したことから、出演者の子役らに学資の援助を申し出るアラブ諸国の慈善団体も急増しているらしい。主人公の兄弟はイスラム教徒として描かれており、アラブ諸国の慈善団体の申し出の裏には、国は違えどイスラム教の子どもたちを助けたいという気持ちがあるのだろう。
ちなみにルビーナちゃんとメインの2人の子役の学資は、映画の製作者が提供することになっている。
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