映画版でも堂々と女子の萌えツボを刺激
(…中編より続く)水泳のメドレーリレーでチームを組んだ男の子たちの個々の悩みと絆の素晴らしさを爽やかに描いたテレビアニメ『Free!』シリーズの劇場版、『映画 ハイ☆スピード!−Free! Starting Days−』が公開される。テレビシリーズでは高校時代だったが、劇場版では時を遡って中学時代が展開される。
・【元ネタ比較】前編/男の子たちの青春と水しぶきがまぶしい人気アニメ劇場版『ハイ☆スピード』
・【元ネタ比較】中編/男の子たちの青春と水しぶきがまぶしい人気アニメ劇場版『ハイ☆スピード』
鳥取県の岩美町をモデルにしているという海辺の町・岩鳶は変わらずのどかで開放的な美しさがあり、主人公たちの中学の名前も岩鳶中学と小学校、高校と同じ町名を冠した名前でファンには馴染み深い。テレビシリーズでモチーフとなっていて、たびたび描かれる桜の花も印象的に登場する。また、ドラマ内容も水泳の技法にこだわるよりも、メンタル面を中心に描かれるのは映画版も同様だ。
中学に上がって新しい生活、新しい出会いがあったために生じる戸惑いが水泳に影響してくるようすが丁寧に描かれてゆく。男の子の友情は爽やかだけれど、繊細でもある姿に切なくなる。主人公たちを支える水泳部の先輩・尚との交流も映画版ではひとつの見所だ。
また、『Free!』のシリーズは女子を萌えさせるツボを心得ていて、それは映画版でも発揮されている。そもそも水泳部という設定からして女子の筋肉萌えを真っ向から煽っているというもの。水着姿で男子同士が抱き合ったり、テレビシリーズでは人工呼吸未遂があったりと、腐女子路線も真っ向から煽ったりする。そのあたり堂々としているところに頼もしささえ感じて面白い。劇場グッズの水着クッションなどは笑えてしまうほど。
ツボを押さえつつ美しいシーンも多く、映画版では服を着たまま真琴と遥が夜のプールに入り、真琴が遥に手を差し伸べて水中で一緒に泳ぐシーンはドキドキするほど官能的に描かれる。昼間のレースシーンは打って変わって躍動感にあふれてダイナミックになるのも感動的だ。
テレビシリーズのエンディングでは、これまた堂々と2次創作のような展開で1期はアラビア風、2期は職業コスプレ風だったが、映画版ではその展開はない。音楽もキャラソンではなく、テレビシリーズではオープニングを担当していたOLDCODEXの新曲がエンディングを飾る。
橘真琴役の声優・鈴木達央がボーカルをつとめているとはいえ、テレビシリーズのオープニングはやけにハードでラウドな曲調が雰囲気と合ってないように思っていたが、映画版は抑えめでドラマティックなストーリーとは合っているかも。映像も2次創作ではなくいが、本編では見られなかったほんわかした日常風景や、テレビシリーズに登場する某女史のグラビアを垣間見せるアソビ心は雰囲気も壊さず和ませる。
テレビシリーズのいいところをいかしながら、映画ならではのじっくりみせる作品にも仕上げた本作。思春期のままならない姿は胸をキュンと締めつけ、瑞々しく透明感あふれる青春はさわやかな感動が詰まっている。キラキラとした男の子たちはどこまでも眩しい。スクリーンで輝く彼らを見にぜひ劇場へ! オン・ユア・マーク!レディー・・・ゴー!!(文:入江奈々/ライター)
『映画 ハイ☆スピード!−Free! Starting Days−』は12月5日より全国公開される。
入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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