(…【元ネタ比較】『ヲタ恋』2「原作にもヲタクにも優しい快適エンターテイメント!」より続く)
【元ネタ比較】『ヲタクに恋は難しい』3/3
あのアニメのパロディも笑い飛ばせる楽しさ!
ふじた原作によるpixiv発の大人気同名コミックを『銀魂』の福田雄一監督が実写映画化した『ヲタクに恋は難しい』が公開された。高畑充希扮するヒロイン・成海の相手役、宏嵩を演じるのは山崎賢人だ。高畑充希は成海役がハマっていたが、山崎賢人は……うん、まあ、これでいいのだろう。
っていうか、宏嵩のキャラクターはあまりにもヲタク女子の夢が詰まりに詰まったキャラクターなのだ。184cmの長身でクールなイケメンで仕事はできるハイスペックで、それでいてゲームヲタクだからヲタク女子にも理解がある。イベントでBL同人誌の売り子もしてくれるという寛容ぶり。ついでに眼鏡で幼馴染という萌えツボも押さえてる。
そんな夢のキャラクターだから、山崎賢人だとクールさが足りないとか、もう少し身長が欲しいとか、どんぐり眼だとか不満が湧いてくる。でも、3次元では誰が演じても不満があっただろう。山崎賢人はクールに見えて実は天然な宏嵩の可愛らしさが感じられたのは良かったと思う。これでいいのだろう。
それよりもっと不満があるのは2人の会社の先輩である樺倉太郎を演じる斎藤工であった。斎藤自身、樺倉が僕でバランスは大丈夫かなと言っているが、大丈夫じゃない。先輩というより上司の貫禄があるし、ヤンキー顔の樺倉の顔面に程遠いし、全然大丈夫じゃなかった。違和感しかなかった。
しかしながら、彼のお相手である小柳花子を演じた菜々緒がどハマりだったので帳消しできる! カッコいい女性である花子に合っているし、なんと言ってもカリスマコスプレイヤーである花子のリアリティがハンパなかった! そうか、菜々緒ってレイヤー顔だったんだ!と逆に再発見したほど。男装コスがあまりにハマっているのでしっかりと劇場で確かめて欲しい。
そして、福田組らしくムロツヨシはムロツヨシでしかないし、佐藤二朗も佐藤二朗でしかなかった。あと賀来賢人も。悔しいけど笑ってしまう。
原作にもヲタクにも敬意を感じる優しい世界で、福田監督らしい楽しさも詰まったエンターテイメントに仕上がった本作。ラストはミュージカル楽曲を担当した鷲巣詩郎にちなんだのであろう、『新世紀エヴァンゲリヲン』のサブタイトル風の題字と「残酷な天使のテーゼ」を思わせるパロディソングで締めくくられる。最後まで作り手も楽しんで観客も楽しませようという精神が伝わって非常に気持ちよく楽しむことができた。(文:矢野絢子/ライター)
『ヲタクに恋は難しい』は本日より公開中。
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