1974年4月28日生まれ、スペインのマドリード出身。『ハモンハモン』(92年)で映画デビュー。ペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』(98年)で国際的に脚光を浴び、『ボルベール〈帰郷〉』(07年)でカンヌ国際映画祭女優賞などを受賞。アメリカ映画にも数多く出演し『それでも恋するバルセロナ』(08年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞。その他の主な出演作は『赤いアモーレ』(04年)、『抱擁のかけら』(09年)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11年)、『悪の法則』(13年)など。
90年代、激動のサラエボを舞台に展開する愛の物語『ある愛へと続く旅』。主演のペネロペ・クルスが初々しい女子大生から思春期の息子と向かい合う母親役までを熱演し、深い感動をもたらす。
愛する人との子どもを熱望しながらも授かることができなかった女性が、戦火のサラエボで代理母の協力を得て母となるも、愛する人との永遠の別れを余儀なくされる。そして数十年後に知る、深い愛の真実……。
本作について「一番強烈で美しいストーリー」と言い切るクルスに、出演の経緯や撮影について語ってもらった。
クルス:何年か前、おそらく3〜4年くらい前から、監督のセルジオ・カステリットとこの本の映画化について話し合ってきました。女性としても女優としても、自分の子どもを持ってからこの映画を撮れたことは、とても面白い経験でした。なぜならジェンマが今どの時点にいて、どの時点には決して達することがないかがより理解できるからです。私のこの人生経験がなかったら、この主人公ジェンマの気持ちを違う風に理解していたと思います。
クルス:この役を演じてとても幸せでした。一方で、非常につらく、暗い日々も過ごしました。彼女の地(舞台となるサラエボ)に行かないでこの役を演じるのは無理ですから。私は、ジェンマという役に対して尊敬と愛情を感じています。この原作小説(「VENUTO AL MONDO」)を読んだとき、500ページもあるのに1日半で読み切りました。そして、他に何も手がつかなくなりました。主人公のジェンマのことばかり考えて。彼女に惚れ込んだんです。なんだかとても変な感じです。撮影が終わったら、ジェンマを手放さなくてはなりません。ジェンマの衣装を脱いだら、またそれを身に着けることはないんです。とても変な気持ちで、寂しくもありましたが、ひとつの過程を完了することは嬉しくもあり、すごく変で、混乱した気分でした。
クルス:このような年代を旅する役をいただけてとても光栄です。監督のセルジオも言っていましたが、50代の現在を撮ってから若い頃の役に戻るのは面白かったですね。普通の撮影なら逆なのに……。私自身、ジェンマについて多くのことを理解するのも面白かったです。それから戦争中の場面や、彼女がサラエボでやっと自分の息子を見つけるシーンなど強烈な場面を撮りましたが、すでに思春期の息子との関係を撮影した後だったので、とても面白い経験となりました。
クルス:人々も含めてすごい街です。現地に行かなければ、あの戦争(ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争)のことを理解するのは難しいです。私の国(スペイン)からこんなに近いところで起きていたこととはとても信じられません。今、私の心のなかには、いつもサラエボがあります。また行かなければと思っています。忘れられないんです。特別な場所で、他とは違うエネルギーがみなぎっています。世界のどんな街とも異なっています。2回行きましたが、1回目は夏の初めで、2度目は11月でひどく寒かったけれど、サラエボではとても幸せでした。現地に行くと、まだ病院が破壊されたままだったりするのを見たり、子どもを亡くした女性の話を聞いたりすると悲しくなりましたが……。
クルス:とても美しいストーリーだと思いますし、ラブストーリーがうまく作用しなければ残りの部分も無意味なものになります。なぜなら、この映画は主人公が永遠に失った愛を描いているからです。そして、彼女の人生にはずっとこのことが残っているのです。彼女は人生最大の愛を、悲惨な形で失くしてしまったのですから。ですから幸せなとき、希望にあふれているときというのは、監督が言うようにおとぎ話のようでなくてはなりません。その部分がとても素敵です。
友人ゴイコ(アドナン・ハスコヴィッチ)との関係も素敵です。すごく特別な友情なんです。おそらく別の状況だったら、彼との関係はまた別のものになっていたかもしれませんが、そうはならない。彼女が愛しているのはディエゴ(エミール・ハーシュ)だから。素晴らしい原作本に感謝しますし、監督と奥さんである原作者(マルガレート・マッツァンティーニ)が一緒に書いた台本にも感謝しています。台本を読んだときには本当に驚きました。小説に描かれた全てが入っていて、何も省かれていませんでした。全ての見るべき心臓部が含まれていて、映画で見なければいけない全てが含まれていたのです。
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