昨年公開され、口コミで旋風を巻き起こした『SR サイタマノラッパー』。本作で入江悠監督は、日本映画監督協会の新人賞を受賞。その続編となる『SRサイタマノラッパー2〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜』公開を約1か月後に控えた5月21日に、入江監督と、サブカルチャー界のカリスマ的ライター&エディターである川勝正幸氏によるトークショーがSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSで行われた。
[動画]『SRサイタマノラッパー2』予告編
『SRサイタマノラッパー2』作品紹介
『SR』は元々、低予算のインディペンデント系映画。封切り後1年と2か月の間に、多くの観客や著名人に愛されたことで“成長”してきた作品だ。それだけに、この日のトークでは、他の映画とはひと味違った裏話が次々と飛び出した。
例えばサントラ。川勝が「映画で流れているヒップホップはそんなに多くないのに、サントラ用に新しく作っているところがすごい」と褒めると、入江監督は「劇場公開が決まったから、急いで作ろうって感じで、撮影から1年後くらいに、みんなで集まって収録した」と、最初はまったくサントラなんて考えていなかったことを明かす。
公開前には考えられなかっただろう小説版も6月17日に発売される。一足先に読んだという川勝は、「小説版はIKKUの一人称。映画だと、煮えきらない彼の行動にイライラするが、小説版はIKKUの一人称なので、意外に自意識が強く…」と語り笑顔を見せる。さらに川勝は「基本の流れは映画と同じなんですけど、IKKUがこんなことまで考えていたのかとか、あのとき、口ごもっていたのはこういうことだったのかとか」と小説版の見どころを解説。そして突然、「ヘタな韻を踏ませてもらう」と話すと、「IKKUのIQ急上昇」と、なかなかのフレーズを口にし、入江監督からも高評価を得ていた。
また、川勝は「この映画は『男はつらいよ』みたいに『ラッパーはつらいよ』とか、続編が作れる構造になっている。『SR』を見終わった後に、続編があるんじゃないかみたいに観客も感じたと思うが、そん時点で『2』の構想はなかった?」と質問。これに「なかった」と素直に答える入江監督だが、その気持ちに変化が起きたのが、夕張映画祭から200万円の助成金をもらえたこと。「結果的には自分でも200万円出すことになった」と話す入江監督は、「別の作品を作りたい思いはあったが、その後に、ラッパーの映画をもう1回撮ろうとすると、1作目に出てくれた役者たちが今、俳優としては崖っぷちのところにいるので、数年後に再会できるとは限らない。だったら、今のままで一挙に作った方がいいだろう」と考えたという。
なお、続編については川勝が「釣りがよく描けていた。『釣りバカ』も終わったことだし、引き継ぐってことで」と話すと、入江監督も「(主演のIKKUと西田敏行の)体型もちょっと似ていますしね」と話し、意欲を見せていた。
『SRサイタマノラッパー2〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜』は6月26日より新宿バルトほかにて全国順次公開となる。
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