1970年2月28日フランス生まれ。代理店からキャリアをスタート。その後、雑誌の編集長をつとめ、映像編集の研修を積んでからスポーツ放送の予告編や事件番組の予告編を監督。複数の短編映画を演出し、2001年に長編映画『サバイブ・ルーム』の脚本、監督をつとめる。本ドキュメンタリーが長編2作目であり、現在は次回作を準備中。
ギザの大ピラミッドは四面体ではなく八面体で出来ていた! 遺跡検証はもちろん、各ジャンルの専門家へのインタビューを敢行し、驚きの事実を積み重ねて衝撃の説へと導くドキュメンタリー『ピラミッド5000年の嘘』。この作品の監督をつとめたパトリス・プーヤール監督が来日した。
原始的な道具のみによって、紀元前2700〜2500年代の20年の間に建造され、クフ王の墓とされてきたギザの大ピラミッド。世界四大文明のひとつで、世界の七不思議で唯一現存する大ピラミッドを中心に、定説を覆して地球規模で語られる謎と新事実……。劇場公開は日本が初となるこの映画で人類史上最大の謎に挑んだプーヤール監督に、製作のきっかけや、監督自身が驚いたことなどを伺った。
監督:主題の強さです。はじめはドキュメンタリーフィルムを作ろうなどと考えてはいませんでした。でも、あまりにもこの主題が強い力を持っていたので、作ろうと思ったのです。
監督:そうですね。1998年に彼が37年もかけた研究を初めて紹介してくれました。素晴らしいと思いましたが、本当にそうなのかなと疑問にも思いました。そこで、実際に自分で検証することにしたのです。実に6年かかりました。そしてエジプト学者たちがピラミッドに関して伝えていることには間違いや、欠けていることが多いと気づいたのです。グリモーの考え方をより多くの人々に知らしめなければならない。そう感じました。
監督:大変なショックを受けました。こんなに大きいとは思っていなかった。近くで見て大きいのは当然ですが、250メートルほど歩いてみて、振り返ってみてもまだ同じ大きさなんです(笑)。一周するのに早く歩いても20分もかかるんですよ。まず、大きさにショックを受けましたね。
監督:建築学的に「これはなんだ? こんなことはありえない」と感じました。入るところは非常に狭く坂も急です。まっすぐ行くと今度は急に大きなところに出て50メートルほど続くような廊下になる。その後、廊下の一番端で“王の間”に出ました。そこは全て花崗岩(かこうがん)で出来ていて、垂直と水平を完全に保っている。調律のラ音を出したら、完璧に共鳴する。これはもうありえないというか、素晴らしい、すごい! と思いました。
監督:どうしてそのことが広く伝えられていないんだろうと思いましたね。
監督:知りませんでした。私もグリモーから話を聞くまでは、ピラミッドは労働者(奴隷)が作ったファラオの墓だと習った通りに思っていました。でも外面は四方をちゃんと指し、内部は水平も縦も横も完璧にまっすぐで対照も美しい。四面ではなく八面、等々、多くのことを知り、今は、この大ピラミッドが非常に特別なモノであるということを実感しています。
監督:たくさんありますが……。カイロの美術館にある、専門家によると蓮の花瓶と言われるものとかね。ただやはり一番は、数学的要素が山ほど詰まっていることです。
一見、難しく思える部分もありますが、言っていることはシンプルなので、一度理解すると、非常に輝いてみえる素晴らしい事実です。地球規模で見た古代遺跡の並び方や、その距離とピラミッドとの関係、そうした部分に黄金律が出てくる点に最も衝撃を受けましたね。
監督:建築学的な素晴らしさだけでなく、感情的にも非常に素晴らしいと思っていきました。イースター島のモアイ像や、ルクソールのオベリスクなどの前に立つと、なんて私は小さな存在だろうと感じ、編集しながら、こうした物を作った人たちへの尊敬の念を伝えられたらと思いました。最後の仮説は、非常に説得力があるものだと考えています。
監督:科学者たちの反応というのはそれほどないんです。というのも、フランスでは1回のプライベート上映をやったくらいで。来てくれた多くの科学者は、素晴らしかったと意見を言ってくれましたがね。特に数学者は高い興味を抱いてくれました。でも、エジプト学者はいませんでした。結局、テレビでもこの話はされていません。今ではDVDなどで見られますが、あたかもこの映画は存在していないかのように扱われていたのです。
日本はこの作品を映画館で公開する初めての国です。日本は新しい考えに門戸を開き広い気持ちで受け入れてくれる国だと聞いています。また日本にも与那国の海底遺跡がありますし、無関係ではありません。この議論は今、始まったばかりなので、今後新しい動きがどんどん早くなり、いろんな方向に向いてくれればと思っています。そのスタートが日本になれば嬉しいですね。
(text&photo=望月ふみ)
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