1999年に海軍に入隊。02年に訓練を経てSEAL隊員に。2年間イラクで過ごした後、05年にアフガンに派遣される。レッド・ウィング作戦に参加し、奇跡の生還を果たしたラトレルは、本作の原作である「アフガン、たった一人の生還」を執筆。チームワーク、不屈の闘志、近代戦についての驚くべき記録であると同時に、山を下りられなかった友人と仲間たちへの鎮魂歌でもあるこの本はニューヨーク・タイムズ紙のノンフィクション部門のベストセラー・リストで第1位に輝いた。軍人としては、回復後、再びイラクに派遣され、06年に海軍十字章を受章。07年春に一等兵曹の位で退役した。10年にローン・サバイバー財団を設立し、米軍兵士とその家族に、教育・リハビリ・復帰・健康の機会を提供する活動を行っている。
『ローン・サバイバー』マーク・ウォールバーグ&原作者マーカス・ラトレル インタビュー
極限状態からの奇跡の生還劇を映画化! 原作者と主演俳優を直撃
2005年6月、アフガンの山岳地帯での偵察任務を遂行中の4人のシールズ(アメリカ海軍特殊部隊隊員)は、200人を超えるタリバン兵に囲まれてしまう。それは、世界一の戦闘能力を誇る隊員にとっても死を覚悟する絶望的な瞬間だったが、1人の兵士がその極限状態を生き延び、奇跡の生還を果たす。
その体験を綴り全米で大ベストセラーとなったマーカス・ラトレルの「アフガン、たった一人の生還」を、マーク・ウォールバーグ主演で映画化したのが、3月21日より公開となった『ローン・サバイバー』だ。
戦場のリアルな恐怖と兵士たちの固い絆を描いた本作について、原作者のラトレルと主演ウォールバーグに語ってもらった。
ラトレル:最初に話を聞いたときは驚いて、ちょっと冷静にならなくてはいけなかった。ハリウッドは実際の戦争をもとにした映画をたくさん作っていて、出来の良いものとそうでないものがある。それで、監督と会って親しくなり、キャストやクルーと知り合うと、安心感が生まれてきた。
その後、出演者たちとトレーニングを始めると、忠実に演じるために自分たちの肉体を犠牲にする彼らの姿勢に心を打たれたよ。彼らは、制作が始まってから、クランクアップまでトレーニングを続けていた。彼らは献身的な姿勢をずっと貫いたんだ。僕と現場で一緒に手伝ってくれた仲間は、映画の仕上がりにとても満足している。何よりも最大のご褒美は、兵士の遺族がみんなこの映画を気に入ってくれたことだね。
ウォールバーグ:この映画は僕がこれまでに関わったどの映画よりも重要だからだ。僕自身、こんなタイプの映画に参加したことがない。この映画に参加した誰もが同じように感じていた。エゴとか、ハリウッド的なくだらないことはみんな捨てて、現場に臨んだ。カメラの前に立つ役者も、カメラの後ろにいるスタッフもみんな。この話を伝えるために参加したんだよ。
──ウォールバーグさんは『ディパーテッド』(06年)、『ザ・ファイター』(10年)、『テッド』(12年)など多くの話題作で多彩な人物を見事に演じきっています。本作ではどのように役にアプローチしたのですか?
ウォールバーグ:僕は、どんな映画でどんな役を演じるときも、同じ独自の準備方法を採用している。ただ、準備の種類は映画によってまったく違う。とくに、マーカス(・ラトレル)のもとで行うトレーニングは、これまでとまったく違っていた。必要とされるトレーニングの激しさや、期待される演技のレベルの高さは、これまで体験したことがないものだったね。
ラトレル:興奮したよ。ずっとファンだったからね。噂で聞いたところによると、ハリウッドという場所は誘惑が多いから長くいると染まってしまう。だからたいていの俳優は長いキャリアを築くことができない。でも、ずっと活躍して楽しんでいる俳優もごく一部いて、それはジョージ・クルーニーだったり、ブラッド・ピットだったり、マーク・ウォールバーグだったりする。彼らには出演作品でベストを尽くしつつ、この業界についてくるくだらないことをはねのける力があると思うんだ。
彼らは、ネイビーシールズとある意味似ているよね。やりたがる人はたくさんいるけれど、最後まで残るのはほとんどいない。ハリウッドもおそらく似たような環境で、マークは長い間ハリウッドに身を置きながらも、ずっと成功を維持している。現場でピーター・バーグ監督に教えてもらったんだけど、これまでに彼が仕事をしたどの俳優よりもマークはプロフェッショナルだったというんだ。彼は、この役をリアルに演じることだけにすべてを賭けていた。全力で仕事をしているからこそ、結果が伴うのは当然なんだと思う。
ウォールバーグ:ホテルの部屋で8時間連続で取材を受けるのではなくて、街を散策したい。遊びに行きたい。セブンハンドレッドクラブ(栃木県のゴルフ場)に行ってゴルフをしたい。あるいは、お気に入りのレストランに行きたい。ショッピングに行きたい。10時間もホテルに監禁されるのではなくてね。
ラトレル:僕はいつも日本に行くとトレーニングをするようにしている。マーシャルアーツを7歳の頃からやっているので、日本に行ったら文化とか美しさだけじゃなくて、その歴史を吸収したい。どこよりも古くて豊かな歴史があるからね。
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