1975年5月23日生まれ、愛媛県出身。大阪芸術大学卒。映画を中心に幅広い分野で映像制作を続け、国内映画祭で多数の受賞歴を持つ。自身初の商業用長編映画『ライトノベルの楽しい書き方』(10年)は小規模封切りにも関わらず多数の動員でロングラン上映を果たした。監督に留まらず、脚本をはじめ雑誌での小説連載など執筆活動もおこなっている。
『瀬戸内海賊物語』柴田杏花&葵わかな&大森研一監督インタビュー
日本版『グーニーズ』を体当たりで演じた2人の若手女優と監督が、小豆島の魅力と撮影エピソードを語る
日本版『グーニーズ』『スタンド・バイ・ミー』とも言える本格アドベンチャー映画の登場だ。美しい海に囲まれた瀬戸内の島々に住む少女と仲間たちは、島の危機を救うため、かつて日本に実在した海賊・村上水軍の財宝を探すために激しい潮流のなか、舟を漕ぎ始めた……。
全国から1027名もの応募者が集まったオーディションで見事、主人公・楓役に選ばれたのは柴田杏花。瀬戸内の海賊大将軍・村上武吉の血を引き、少々の無茶などお構いなしに突き進む少女を熱演している。
そして楓の同級生・愛子役にはアイドルグループ・乙女新党のメンバーでもある、葵わかな。最初は楓に反発心を抱きながらも、次第に心を開いていき、楓たちと一緒に村上水軍の財宝探しに協力することになる少女を好演している。
原案となったのは、2011年に開催された「瀬戸内国際こども映画祭」エンジェルロード脚本賞のグランプリ作品「笛の伝言−瀬戸内海賊物語−」。受賞者である新鋭・大森研一監督が、脚本・監督を務めている。
誰もが子どもの頃に抱いていたまっすぐな思いと、支え合う大人たちの姿を通じて、今、本当に大切なものは何かを新たに問いかける本作。大森監督と柴田、葵の3名に本作の裏側について話を聞いた。
監督:幼いときに見た『グーニーズ』などの作品には魅力を感じていました。そういった作品にリスペクトを捧げようと思ったときに、日本で撮るなら、地元である村上水軍の物語だと思ったんです。もちろんしっかりとしたドラマを撮りたいという気持ちもありますから、そういったドラマ性を確立した上で、アクションや冒険というものを描こうと思ったんです。
柴田:この作品に本当に出たかったので、決まったときは嬉しかったです。私の役は、ほぼ男の子のような女ガキ大将の役なので、ちゃんと楓に近づけるように頑張りました。とても大きな重要な役ということで、いろいろなプレッシャーもありましたが、撮影が始まれば、子どもたち4人(柴田杏花、葵わかな、伊澤柾樹、大前喬一)が本当に家族みたいな感じで毎日を過ごしていたので、すごく楽しかったです。
葵:最初のオーディションのときは、どの程度の冒険になるのか分かりませんでした。でも、台本を読んでいくと、洞窟という言葉や、水のなかに落ちる、といった言葉が出てきて。「え! どこまでいくんだろう」と思っていました(笑)。
柴田:自分で演じていても、楓はすごいなと思わされることが多かったですね。あきらめない心や、友だち思いな面もそうですし、最後までやり遂げるということも勉強になりました。
葵:人付き合いが苦手なところは私と一緒ですけど、気の強い役は初めてなので、それが新鮮でした。ただ、私は気が強いように思われがちなので、本当は優しいんだよというところをアピールしたいですね(笑)。
監督:やはり復元した(村上水軍が使用した)小早舟を漕ぐのが大変でしたね。あれは大人でもまっすぐいかない。4人の子どもたちで漕いでもらわなければいけなかったんですが、それぞれの漕ぎ方がバラバラになってしまったりして。そういうことは大変でしたね。
葵:潮の満ち引きが本当にすごくて。小早舟は4人が同じ力で漕がないと進まないんですよ。だけど、誰が強いのか分からないのに、「おまえが強い」と言い合ったりしてケンカになったこともありました(笑)。ほとんどが海につかっているか、海の上での撮影だったので、船酔いも激しかった。石にすべったこともありましたし、みんなで真っ黒になりながら、いろいろとやりましたね。
柴田:岩を登るシーンがあって。一応、ロープはついているんですけど、ロープに引っ張られていくわけではなく、自分の力で登らないといけなかったので、必死でやっていました。撮影はハードでしたけど、でもだんだんそれが普通の感覚になってきて。それ(ハードな撮影)が楽しみで毎日現場に行ってました。
監督:瀬戸内にはほかの海にはない魅力があります。瀬戸内海で撮影をすると、光の具合で島々の表情が変わっていくんですよ。そういった風景はもちろんのこと、潮流が大きいところも特徴ですね。村上水軍はそれがあったから栄えたというのもあります。
今回は現代劇でありながらも、潮流自体は400年前と変わらないものだと思うので、400年以上前の先祖とのつながりを感じさせますし、そういった意味でも、時空を超えた世界観を味わってもらえると思います。
柴田:わたしは島に行ったこと自体も初めてだったので、空気の良さと景色と、初めて見るものばかりで、島に行った瞬間に感動しました。ここで1ヵ月撮影できるんだなと思ったら嬉しかったです。
柴田:2人は同じ部屋でした。
葵:最初のうちはそういう状況が楽しくて、お互いにいろんな話をしていたんですけど、最後の方は疲れてしまって、寝るだけの部屋になって。倒れ込んで1日が終わるという感じでしたね。
葵:仲は良かったですね。4人のなかでも、わたしは中学2年生で1番年上のお姉さんだから、と思っていたんですが、結局何もできなくて。男の子2人は小6だったので、むしろそっちの雰囲気に飲み込まれてしまって。結局、みんな同い年みたいな感じで、和気あいあいとしていましたね。
監督:すごくいい4人でした。すぐ仲良くなりました。それと瀬戸内の美味しいものをいっぱい食べてましたね。
葵:小豆島ラーメンをいっぱい食べました。
監督:彼女は小豆島ラーメンのことばかり言うんですよ(笑)。
葵:泊まっていた民宿から少し離れたところに小豆島ラーメンの店があって。民宿で自転車を貸してくれたので、みんなでことあるごとに小豆島ラーメンを食べに行っていました。
柴田:ごはんはほとんど小豆島ラーメンでした。エンジェルロードを眺めながら食べられるんですよ。
葵:いつも奥にある、エンジェルロードが見える席を陣取っていました。美味しかったよね。
監督:小豆島ラーメンというのは、替え玉が無料なんですけど、麺だけでなく、具も一緒にザバッと入れてくれるんですよ。つまりおかわりが無料なんです。そういうのもあって大人気の店だったという。
葵:でも量が多くて、替え玉ができなかったんですよ。
監督:僕が行くときは大抵満席で入れなかったんですが、奥を見るとだいたい4人がいるんですよね(笑)。
監督:2人とも役にピッタリでした。それから勘がいい。こちらが説明することに対しても、すぐにつかんでくれたし、表情ひとつにしても理想通りにやってくれることが多かったので、やりやすかったですね。
監督:まず杏花さんに関して。オーディションで主役を決めたときには、最後になればなるほど演技の力量は均衡してきて、表面を見ただけでは分からないものになってくるんです。けれど、彼女の目つきを見てグッときたというところもありますし、1ヵ月、自然との戦いのなかで撮影していくわけなので、ぶれない軸のようなものを彼女のなかに感じたということです。
わかなさんですが、(劇中で葵が演じる)愛子像というのが僕のなかに最初からあって。彼女に会ったときからいけるな、と感じていました。もちろん演じる際には、本人のアレンジもあったとは思うのですが。
葵:杏花ちゃんと知り合いのメンバーがいるので、その子は「杏花ちゃんと一緒の撮影でいいな」と言っていました。あとこのタイトルを見て、「海賊になったの? わかな」とも言われたんで、「違うよ。映画を見てね」と言っておきました(笑)。
柴田:どんな役でも幅広く演じられる女優さんになりたいと思います。
葵:杏花ちゃんが言った通り、いろんな役をやりたいとも思うんですが、最近やらせて頂く役はいろいろな悩みを持った役が、年齢的にも多かったので、そういういったことを自分なりに伝えられるような女優さんになりたいです。
(text&photo=壬生智裕)
NEWS
PICKUP
MOVIE
PRESENT
-
ダイアン・キートン主演『アーサーズ・ウイスキー』一般試写会に10組20名様をご招待!
応募締め切り: 2025.01.04 -
齊藤工のサイン入りチェキを1名様にプレゼント!/『大きな家』
応募締め切り: 2024.12.27