1972年12月22日生まれ、フランスのサン=モール=デ=フォッセ出身。幼少時に、子どもが才能を披露する人気テレビ番組『エコール・ド・ファン』に出演。叔父がレコードプロデューサーだったことから、13歳の時に「夢見るジョー」で歌手デビューし大ブレイク。ロリータ的風貌でフランスのトップアイドルとなる。その後、『白い婚礼』(91年)で映画デビューしセザール賞を受賞。主な出演作は『ハーフ・ア・チャンス』(98年)、『橋の上の娘』(99年)、『エイリアンVSヴァネッサ・パラディ』(04年)、『ジゴロ・イン・ニューヨーク』(13年)など。98年からジョニー・デップと交際し、99年に長女、02年に長男を出産するも、12年に破局している。
アカデミー賞受賞作『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督が手がけた『カフェ・ド・フロール』は、美しくスピリチュアルなラブストーリーだ。1969年のパリと現代のモントリオールを行き来しながら、時代を超えた“運命”の愛について描き出す。
主演はヴァネッサ・パラディ。ダウン症の息子を女手ひとつで育てる母親を演じている。ジョニー・デップと別れる時期に重なった撮影は精神的にもきつかったようだが、ありったけの愛で息子を包み込む母親を、感情表現豊かに演じ、感動を誘う。
当時の彼女自身の状況とも重なって見えるような本作について、パラディに語ってもらった。
パラディ:初めて台本を読んだ時は息をのんだわ。読み進めるほどに胸が締めつけられてしまって息切れしたほどよ。
パラディ:ええ。ジャクリーヌは夫と別れて、今は息子のために生きてるの。生活は貧しく、頼れる友だちもいないわ。それでも彼女は運命だけを信じて、息子に幸せな人生を送らせようと頑張ってる。ジャクリーヌという役には圧倒されてしまったけど、彼女は強さと決断力、愛嬌のある女性なの。お気に入りの役よ。
パラディ:共演するには忍耐力が必要だったけど、今まで苦手だったアドリブが上手になったわ。彼とのシーンは監督の指示どおりにはいかないから、アドリブが求められるの。でも慌てることはなかった。彼の行動で予想外のことが起きると、それに合わせてみんなが動いていく。そういう環境が私を成長させてくれたし、スタッフの手腕も磨かれたんじゃないかしら。急な予定変更もあったから、臨機応変に対応しないといけなかったしね。
パラディ:マランとは心を通わせる必要があったんだけど、私のほうはすぐ打ち解けたわ。マランのまなざしは魔法のように、とても美しいの。愛嬌があり、魅力的で偉大な影響力を持ってるの。
パラディ:監督に何度も「全員に好かれろ」と言われた。それがすごく難しかったわ。頑固で厳しく荒っぽい女性に好印象を持たせるには、まず私が彼女を好きになる必要があったわ。
パラディ:監督にはいつも驚かされてる。監督との撮影では、女優として挑戦したいと思わせてくれるの。彼が少しずつアイデアを付け加えていくたびにシーンがさらによくなって、感情表現にも深みが出るのよ。
パラディ:演技中はいつもの私ではないから、頭で考えた感情を表現しなければならない。役柄と自分が混同することもあるけど、むしろそのほうがよかったりする。心が揺れ動くまま従うの。
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