1994年5月31日生まれ。韓国ソウル特別市出身。04年にドラマ『張吉山』でデビューし、子役として活躍。『ファン・ジニ』(06年)で主人公の幼少期を演じてKBS演技大賞青少年演技賞を受賞。映画では『サニー 永遠の仲間たち』(11年)で高校時代の主人公を演じ、『怪しい彼女』(14年)で第50回百想芸術大賞・最優秀主演女優賞など数多く受賞。近年の映画出演作は『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16年)、『サイコキネシス-念力-』(18年)。2019年4月〜5月に日本で舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」に出演。箱田優子監督の映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が10月11日公開予定。
真実を追求しようと猛進する女性記者の姿を通して、メディアと権力の攻防を描く『新聞記者』。
望月衣塑子の同名ベストセラーを原案に、昨今の日本を騒がせた数々の出来事を想起させる物語で女性記者・吉岡を演じるのは『サニー 永遠の仲間たち』『怪しい彼女』などで知られる韓国の人気女優、シム・ウンギョン。日本での活動も本格的にスタートさせた彼女は全編日本語で演じている。一方、内閣情報調査室で現政権に不都合なニュースのコントロールに従事する若き官僚・杉原を演じるのは松坂桃李。公務員としての理想と現実の任務の板挟みとなるエリートの葛藤を迫真の演技で表現する。
人気、実力ともに同世代の先頭に立つ2人に話を聞いた。
松坂:純粋には僕は3つあって、まずウンギョンさんと一緒に共演できること、藤井(道人)監督と一緒に仕事ができること、もう1つはやっぱり脚本です。エンターテインメントとしても、サスペンスとして面白いと思いました。
松坂:そうですね。でも映画を見ると、ちゃんと自分自身に問いかける内容になっていると思います。伝えるべきものがちゃんとこの作品にはあるので、それを真っすぐに。いろいろ気にするより、ちゃんと真っすぐに伝えたいという思いの方が強かったです。
シム:私も松坂さんと同じ考えです。映画のジャンルとして、こういう作品もありだと思うので。サスペンス・エンターテインメント映画だと感じています。
今の時代の社会的なものも描いていますが、私は『新聞記者』という映画は人間の話だと思っています。映画の中のこの2人のような人間がきっとこの世の中にいると思うんです。それがちゃんと見えたのが、やりたいと思うきっかけになりました。台本を読んで、難しいテーマを分かりやすく書いてあるのもすごく良かったです。
松坂:すごくうれしかったです。
シム:私も。
松坂:純粋に。
シム:うれしかったです。
松坂:ご本人がいるのを前にして何か言うのはちょっと照れくささみたいなものはあるんですけど。前から映画で拝見していた女優さんで、共演できるチャンスが来ると思ってなかったので。今回は本当ににいい時間を過ごせたなと心から思います。刺激がいっぱいでした。ウンギョンさんは監督の言葉によって、しなやかに変わっていきます。毎回本番ごとに微妙な変化といいますか、周りに落ちているヒントを吸い取ってそれをすぐに表現に変える、その瞬発性を目の当たりにできたのは、僕にとってはものすごくいい刺激でしたね。
シム:ありがとうございます。私は松坂さんのドラマ『ゆとりですがなにか』を拝見して、その後いろんな作品も見て、シリアスな顔とか、いろんな芝居ができる方だと思ったんです。私も共演できるなんて想像もしていませんでしたが、本当に好きな俳優さんなので、深いメッセージを持つ、意味ある作品で共演ができるのがとてもうれしかったです。
松坂さんは芝居に対してすごく真面目な姿勢を持っている方だと聞いていたんですが、実際に共演してみて、本当にそうだと思いました。お互いに芝居のキャッチボールというか、それができたと感じました。
そういう意味ですごく松坂さんにいろいろ助けてもらいました。ありがとうございました。
松坂:いや、こちらこそありがとうございます。ウンギョンさんは表情一つでいろんな感情が伝わってくるんです。実際に一緒にお芝居したときにさまざまな感情……迷いや決意、吉岡の強さとか、一気に伝わってくるのがすごいなと思いました。
シム:松坂さんはどんな役でもオーソドックスな芝居じゃなく、松坂さんが理解したものを表せる表現者だと思いした。それぞれのキャラクターがご自身のことみたいな、そういう芝居です。その芝居の自然さに私も刺激をもらいました。
松坂:行動を起こす……。興味が強いかもしれないですね。例えば、この監督とやってみたいという興味。その監督と仕事するためにはどういうプロセスを踏んでたどり着けるかを考えます。たとえ時間がかかったとしても、その思いが強ければ強いほど、その行動を持続させる力がちゃんと付いてくるというか。興味や関心だったり、好奇心みたいなものが大きいかもしれないですね。
松坂:そこまで多方向にいっぱいアンテナを張っているわけではないですけど、何かに興味を持つと、ちょっと調べてみたい、直接会ってみたい、触れてみたいというのはあります。
松坂:非常に印象的な画も撮ります。毎回カメラマンさんとすごく話しながら画を作ったり。かつ、お芝居の中でもディスカッションもあったり、その現場を生き物として捉えているような感じです。
松坂:より一緒に作ってる感が強いかもしれないです。今回カメラマンさんも僕と同い年なんです。撮影期間もすごくタイトだった分、一緒に作っていこうという熱量みたいなものはより強かったかもしれないです。
シム:まず、仕事の前にご飯を食べなきゃいけない(笑)。ご飯です。お米。
松坂:それは大事(笑)。大事だな。
シム:私も何かに興味を持つと、いろいろなところで調べたり、YouTubeを見たり、ずっと1日探したりしてます。気になることが多くて、飛び込みでよく質問します。例えば知らない漢字があったら、「これは何て読みますか?」と。質問がとにかく多くて。多分周りの方々はうるさいと思っているかもしれないですけど。
──政治やメディアに対する問題意識を抱えた重い映画である一方、同調圧力の中でいかに自分を保つかという誰もが自分の物語に置き換えることもできるテーマでもあります。普段、自分の信念をどうやって貫いていらっしゃいますか?
松坂:この仕事に助けられている部分は大きいなと思いますね。さまざまな作品に携わることによって、“この作品でこの役で生きる”となると、もちろん周りの意見も聞いたりするんですけど、「この人はこういう感情だ」と思うことが、その作品の中で生きることにもつながったりするので。そこで自分の思いみたいなものは強く保たれている気はします。
それぞれの歩んできたもの、考え方があるということを、ちゃんと仕事を通して実感として入ってこられるのが、すごく助けになってると思いますね。
松坂:いや、結構怖がりといいますか、不安は絶対的に付きまとうものだと思います。特に、新しい作品のクランクイン前日は不安で眠れないことが毎回あるので。いつもその不安に駆られて初日を迎えます。
シム:すごく今、共感できました。やっぱり私も、自分自身との戦いじゃないかなと思っていて。本作の全体的なメッセージもそうですが、自分自身を信じることができたらいいと私は思っています。それができたら、相手のことも信じられる。世の中のいろんなニュースや問題をちゃんと区別する目もできるんじゃないかと思うんです。
松坂さんと同じく、私も撮影前日にすごく緊張するタイプです。初日は緊張し過ぎちゃって、ずっとマネージャーさんに「私大丈夫ですか」「どうですか」と聞いて、監督にも「大丈夫ですか」「もっとやりましょうか」とか、ずっと相談したりするんです。いつも緊張してしまうのが嫌だったんですが、ただ先日、初めて舞台に挑戦したら、考えがちょっと変わりました。舞台では緊張がなくなると、芝居がちょっと緩くなってしまうので。
松坂:そうね。
シム:緊張はしますけど、役にはまるためにはそれも必要だなと思って。芝居って本当に、やればやるほど難しくなるものですね。
[text:冨永由紀/photo:小川拓洋]
[シム・ウンギョン=ヘアメイク:遠山美和子(THYMON Inc.)、スタイリスト:Babymix/松坂桃李=ヘアメイク:AZUMA(M−rep by MONDO-artist)、スタイリスト:TAKAFUMI KAWASAKI(MILD)]
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