アメリカ、ニューハンプシャー出身。ニューヨーク市で監督兼デザイナーとして演劇制作のキャリアをスタート。やがて映画に移行し、いくつかの短編映画を監督した後、映画・テレビ・出版物・演劇・ダンスの分野で幅広く活動した。監督兼脚本として長編映画デビューを果たした『ウィッチ』(15年)は、サンダンス映画祭でUSドラマ部門の監督賞を受賞し、高い評価を得た。インディペンデント・スピリット賞でも最優秀新人作品賞と最優秀新人脚本賞の2つを受賞した。続く『ライトハウス』(19年)では、アカデミー賞撮影賞にノミネートされた他、カンヌ国際映画祭FIPRESCI賞など数多くの映画賞を受賞。その才能を世に知らしめた。現在は、F.W.ムルナウの古典映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』のリメイクを含むいくつかのプロジェクトが進行中。
『ライトハウス』ロバート・エガース監督×ウィレム・デフォー×ロバート・パティンソン インタビュー
絶海の孤島に閉じ込められた2人の灯台守に、未知なる狂気と幻想が襲いかかる
「最もクレイジーでドラマチック」なシーンは実際に嵐のなか“命懸け”で撮影!
ロバート・パティンソンとウィレム・デフォーがW主演したモノクロ・スリラー映画『ライトハウス』。舞台は1890年代のニューイングランドの孤島。2人の灯台守が4週間にわたり、灯台と島の管理を任される。ベテランのトーマス・ウェイクと若いイーフレイム・ウィンズローは、そりが合わずに初日から衝突。険悪な雰囲気の中、嵐に見舞われた2人は島に閉じ込められてしまう……。
本作は1801年にイギリス・ウェールズで実際に起きた事件をベースに、ロバート・エガース監督が故郷であるアメリカ・ニューイングランドに舞台を移し脚本を執筆。暗く陰鬱な雰囲気を引き立てるモノクロ映像や正方形に近い画角にこだわった映像美が評価され、アカデミー賞撮影賞にノミネートされた。絶海の孤島に閉じ込められ、徐々に狂気と幻想に侵されていく2人を、鬼気迫る表情で演じたデフォーとパティンソン、そしてエガース監督の3人にインタビュー。
・ぬめぬめしたものがうなじを逆なで! 狂気に叫び出したくなるスリラー
監督:『ライトハウス』は私にとって長編二作目ですから、そんなに経験が豊富というわけではありません。私が望む作品を作るためには、カメラの位置や事前のリハーサルなど、すべて入念に計画を練り、準備をする必要がありました。そうすることで、映画的な言語を正確に表現できるからです。続きは2人に任せます。それぞれ違う経験があると思うから。
パティンソン:リハーサルは3週間ぐらいだったよね?
監督:いや1週間だったけど、君にとっては3週間に感じたのかもね。
パティンソン:本当に!? あれ1週間だったの? そんな訳ないよ、絶対ウソだ(笑)。僕のキャラクターは物静かで、無口な役柄だったからリハーサルで見せすぎたくはなかったんです。プレッシャーのかかる環境に身を置くことができてよかったと思います。ハリファックスのホテルの小さな部屋にいたのですが、そこに閉じこもって何も見ないことで、撮影に向けてプレッシャーをかけることができました。面白い体験でした。
デフォー:私はロブ(=ロバート・パティンソン)とは違って、リハーサルが大好きですよ。いつも必要というわけではありませんが、特に多くのセリフや複雑な映画言語の場合は特に好きです。『ウィッチ』を見て、とても美しく作られた映画だと思いました。そこでどうにかロバートと知り合って「ぜひ何か一緒にやろう」と伝えました。そして『ライトハウス』がその“何か”になりました。リハーサルをする前に、監督はたくさんのリサーチをしてくれました。ロブと私に、灯台に関するもの、当時の文章、方言を録音したテープ、当時の歌など、さまざまなものを渡してくれたので、豊富なネタがありました。準備はしっかりしていましたが、実際に現場に行ってみると、準備していたものはすべて台無しでした。なぜなら現場で主に対処しなければいけなかったのは天候だったので(笑)。
監督:本作に出てくる建物はすべて自分たちで作りました。私たちが求めた当時の灯台で、アクセスが困難な離島以外にあるものが見つからなかったので、ノバスコシア州の南端にあるケープ・フォーチューの火山岩の半島で撮影しました。そして16マイル(約26km)先まで照らすことができる、高さ70フィート(約21m)の灯台を建設しました。
そこは非常に過酷な場所でした。木々はなく、風は容赦なく吹きつけます。風の音が大きすぎて、隣にいるロブやウィレムの声が聞こえないこともありました。実際に嵐の中で撮影していなければ、その雰囲気や環境、風力の信憑性は得られなかったと思います。風や雨の機械を使っていると思われるシーンがたくさんありますが、そうではありません。それらを使用することもありましたが、最もクレイジーでドラマチックな瞬間は、ほとんど実際に撮影したものです。
パティンソン:人魚を見に走っていくシーンですね。実際には命懸けには見えないかもしれませんが、文字通り刃物のような岩の上を、時代に合わせた衣装の靴を履いて走っていたんです。これまでの人生で、最も恐ろしいことの一つだったと思います。あのような場所は慎重に歩きたいところですが、疾走するとなると、毎回自分の命がかかっているような気持ちでした。
デフォー:ネタばれになるから言っていいのか分からないですが、生きたまま埋められるのは決して快適ではないです…。
監督:しかもそのシーンは2日目に撮影しましたね。
デフォー:まぁ……でも、初日からもう死ぬ覚悟でした(笑)。
監督:弟であり本作の脚本を手掛けたマックスと私は、この時代の人々がどのように話していたのかという感覚や雰囲気を吸収しようと、当時の文章をたくさん読み、メルヴィルも確かに参考にしました。「白鯨」とは違っていても、神話的な標識や警告のようなものは、この作品にも共通していると思います。サラ・O・ジュエットはメイン州を拠点とする作家で、19世紀後半に農民や船員にインタビューをして方言で作品を書いていたので、特に参考になりました。だから、ロブの方言はニューイングランド地方の農民をベースにしているし、ウィレムの方言は海の方言をベースにしています。
[訂正のお知らせ(2021年7月12日)]
ロバート・エガース監督のプロフィール写真が間違っておりましたので、アップし直しました。
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