坂本龍一「ミナマタの悲劇は世界中で起きている」 映画『MINAMATAーミナマター』への思い語る

#MINAMATAーミナマター#坂本龍一#ジョニー・デップ#アンドリュー・レヴィタス#音楽

Larry Horricks
(C)Larry Horricks
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ジョニー・デップ主演の新作映画『MINAMATA―ミナマター』より、音楽を手がけた坂本龍一からメッセージが到着した。あわせて新たな場面写真が解禁されている。

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アンドリュー・レヴィタス監督「私たち製作陣が夢見ていた人」坂本龍一に熱烈オファー

本作は、熊本県のチッソ水俣工場による工業排水を原因とする四大公害病の1つである水俣病が題材だ。報道写真家として功績を評価されながらも心に傷を抱えたユージン(ジョニー)が、パートナーのアイリーン(美波)とともに水俣を訪れて1971年から3年間現地で暮らし、人々の日常や抗議運動、補償を求め活動する様子を何百枚もの写真に収めていく濃密な日々が描かれる。

音楽を担当したのは、『戦場のメリークリスマス』(83年)や『ラストエンペラー』(87年)など、映画史に残る名作の音楽を多数担当してきた坂本。坂本にオファーしたアンドリュー・レヴィタス監督は「本作の作曲家にと、私たち製作陣が夢見ていた人だ。元々私の理想の作曲家だが、特に本作においては完璧だ。彼は産業公害に強い関心を持っているし、音楽で世界を癒している」と語る。

坂本本人は「ミナマタに悲劇をもたらしたことと同じことが、その後も世界中で起きていると思います。その意味でミナマタは決して過去のことではないという気持ちで音楽を担当しました」とオファーを受けた理由を説明している。

「この物語の人々と、すべての人間に秘められた美しさを音楽に反映したかった」という監督の思いを引き受け、演奏に使用する楽器の年代にまでこだわり完成させたという坂本の音楽は、映画に優しく寄り添い、物語を鮮やかに彩る。

さらに、劇中で「LIFE」の副編集長ミリーを演じた世界的メゾプラノ歌手、キャサリン・ジェンキンスも音楽に参加。彼女の声と坂本の伴奏は公害で苦しむ地球に“声”を与えている。

解禁された新場面写真は、ユージンとアイリーンが大量の煙を吐き出す工場を背景に、視線を交わすシーンや2人が水俣病患者の元を訪れて話を聞く姿、群衆の中で険しい表情を浮かべながらたたずむ真田広之演じるヤマザキ・ミツオ、「LIFE」紙に掲載されたユージンの写真を静かに見つめる國村隼演じるノジマ・ジュンイチの姿、そしてビル・ナイ演じる「LIFE」編集長に真剣な視線を向ける副編集長のキャサリンなど、物語の鍵となるシーンが次々に映し出されている。

ユージン・スミスと水俣の物語に優しく寄り添う、坂本龍一の美しい音楽が印象的な本作。続報にも注目だ。

『MINAMATA―ミナマター』は9月23日より全国公開。