赤ん坊を誘拐した女と、彼女に育てられた少女。2人が背負ってしまった痛さや切なさを綴った角田光代の小説を映画化した『八日目の蝉』。この映画が4月29日に公開初日を迎え、キャストの井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子と、成島出監督が舞台挨拶に登壇した。
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井上は冒頭「『八日目の蝉』の初日ということで、蝉の絵のついたワンピースを着てみました」と挨拶。続けて「悩み抜いて(壁に)ぶち当たりながらやった作品。(演じた)恵理菜と同じように一筋の光を信じ、何か違う景色が見られるのではないかと信じて頑張ってきました」とコメント。
今回の撮影を通して成島監督から「目をそらすな」と言われたそうで、「自分では人の目を見て話す方だと思っていたが、無意識のうちに一瞬目を離すことがあるんだと気づきました」と振り返っていた。
その成島監督が大変だったこととして挙げたのが赤ちゃんの出演シーン。実は双子の赤ちゃんを使ったそうで、「1人が泣いても1人がご機嫌ならうまくいくんじゃないかという浅はかな考えでキャスティングしたが、双子なので、1人が泣くと(もう1人も)泣いちゃったり」と、作戦が初日から頓挫したことを明かしていた
井上との共演シーンが多かった小池は「井上さんがいなかったらやりきることができなかったと思うくらい、私にとっては戦友。井上さんと一緒だったことが力になり、撮影期間を乗り切れた」と感謝の言葉を述べると、井上も「辛いときいつも(小池は)、そっと黙って隣にいてくれた。本当にこの作品で出会えて良かった」と感謝し返していた。
一方、赤ちゃんを奪われる母親役を演じた森口は、夫役を演じた田中哲司と役作りについて何か話したかと聞かれ、「夫婦の空気感みたいなものは出したいという話はした。後は見守ってくれていた」と回答。司会から「大きな愛に包まれていたわけですね」と質問されると「(浮気相手に赤ちゃんをさらわれる)田中さんの役がどうしようもないですから、現場くらい、大きな愛で包んで欲しいなと思いながら、その上にのっかっていました」と答え、会場を湧かせていた。
本作は昨年9月にクランクイン。ファーストカットがどしゃぶりの雨のなか、赤ちゃんを誘拐するシーンだった永作は「鮮明に覚えています。あのときは、この1日、充実したものが撮れればこの先は最後までうまくいくと、願掛けのようなプレッシャーのような、どちらかわからないものを自分にのせて、現場に挑んだ」と当時の心境を吐露。
また、井上扮する恵理菜の子ども時代を演じた薫役の渡邉このみとは長く過ごしたそうで、「一緒にご飯を食べたり、シールをいろいろなところに貼ってみたり」と、楽しい時間を過ごした様子。
この日は、その渡邉も応援に駆けつけ、母の日に先駆けてカーネーションを永作ら登壇者1人ひとりに手渡す場面も。「薫役を演じた渡邉このみです。みなさん見に来てくれてありがとうございます」と早口になりながらも立派な挨拶をし、大きな拍手を受けていた。
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