『光のほうへ』トークショーで東ちづるが家族のリアルについて語った

東ちづる(左)と信田さよ子(右)
東ちづる(左)と信田さよ子(右)
東ちづる(左)と信田さよ子(右)
東ちづる(左)と信田さよ子(右)

絶望のなかで見い出した一筋の光を描いた『光のほうへ』。6月10日、現在公開中のこの映画のトークショーがシネスイッチ銀座で行われ、女優の東ちづると臨床心理士の信田さよ子が出席した。

[動画]『光のほうへ』予告編

本作は、アルコール依存症の母親のもとで育ち、幼い弟を亡くしたことがトラウマとなっている兄弟が、孤独の底から希望を求めて歩き出そうとする姿を描いたデンマーク映画で、2011年デンマーク・アカデミー賞5部門を受賞した珠玉作。

「見終わった後、とても考えされられた」という東に対し信田は、「まずこの映画がデンマークで賞をたくさん獲っていることが素晴らしい。日本映画でこのような内容だったら、見る人も限られてしまう。確かに暗い映画ですが、日々のカウンセリングで、このような家庭や問題を抱えた人にたくさん出会います」と語った。

また、東の「きっと今の日本の若者も(青春を)謳歌しているように見えて、(人生の)答えが出せないままに、気が付いたらアルコールとかタバコとか恋愛などの依存症になっていますよね」というコメントに、信田は「20代、30代の方は、日本の社会の暗部を怖くて直視できないのでは。映画の舞台となっているデンマークは“世界一幸せな国”と言われるほど社会制度が整っているけれど、物質的に恵まれていることと、このような依存症が存在することはまったく無関係」と、物質的豊かさと心の豊かさは比例しないと断言していた。

これについて東は、「日本でも(過剰にもたれあう人間関係の)共依存やアルコール依存症など多くあり、映画の題材になると思うのですが、日本で作ると“絆”や“支え合い”とか美しすぎるものになりそう」と情緒的な日本の文化について言及。信田は「今は特にそうでしょうね。東日本大震災のような国難が起きたときは、家族というものは批判してはいけない対象になってしまう」とうなずいてから、「このような時期に、家族のリアルな部分をきちんと描いているこの映画が公開されたことは、非常に意義のあることだと思います。これは、見なくてはいけない映画だと思います」と語った。

さらに東は「家族は理解し合うのが当然だ、家族は円満であるべきと私たちは思い込んでいますが、親子であっても夫婦であっても分からない部分はある。そして、不安定な“団体”ですが、それでも分かり合おうとしているのが家族なのだと思います」と、自らの考えをまとめていた。

『光のほうへ』シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開中。

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