「男の子として生まれた少女」7歳のトランスジェンダーを追いかけて見えた“脅威”と“母の葛藤”

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多様性やジェンダーの問題が叫ばれるなか、新たに誕生した感動のドキュメンタリー『リトル・ガール』が1119日より全国公開。ムビコレでは、セバスチャン・リフシッツ監督のインタビューを掲載中だ。

・7歳のトランスジェンダーが抱える葛藤と家族の真実/『リトル・ガール』セバスチャン・リフシッツ監督インタビュー

 この物語は、トランスジェンダーの”母親”のドキュメンタリーでもある

サシャは2歳を過ぎた頃から自身の性別の違和感を訴えてきたが、社会は彼女を他の子どもと同じように扱えずにいた。やがて7歳になってもありのままに生きることができない、不自由なサシャ。家族はそんな彼女の個性を支え、周囲に受け入れさせるため、学校や周囲へ働きかけるのだが……。

本作は、さまざまな社会の壁に阻まれながらも、まだ幼く自分の身を守る術を持たない彼女の幸せを守るために奔走する家族とサシャの“ゆずれない闘い”を映し出した心震えるドキュメンタリーだ。

社会の周縁で生きる人々に一貫して光を当ててきたことでも知られるリフシッツ監督。本作で、男の子として生まれた7才の少女サシャを撮ろうと思った理由について、「フランスでいち早く性別適合手術を受けた1935年生まれのトランスジェンダー、バンビの映画を数年前に撮ったこと」がきっかけだったと話す。

「本人から聞いた話では、34歳の頃にはすでに心の奥底で自分は女の子だと感じていたそうですが、その話を聞いたときに考えさせられるものはありました」。

バンビの話を聞いて、リフシッツ監督は、「トランス・アイデンティティというのは、思春期の性の問題とは切り離された問題」だと気付いたと言う。「トランスジェンダーについてもっと理解するには、アイデンティティの問題にぶち当たっている現代の子どもを取り上げなければならないと感じました」。

トランスジェンダーの子どもをインターネットで探すことを思いつき、性別違和の子どもを持つ親たちが体験談を書いているフォーラムにメッセージを投稿したが、最初は警戒されたり、怒られたりしたこともあったと話すリフシッツ監督。

あきらめず、敬意を持って取り組んでいることを伝え続けると、2つの家族から返事があった。そのうちの1つがサシャの家族だ。

「この家族と初めて会ったとき、まさに映画に出てくるような、とても堅実で団結した家族だと感じました。それは誰が見てもわかるくらい、家族同士に無条件の愛の絆があったのです。おそらく、サシャがつらい経験をしていたので、サシャを守るために家族が一つになっていたのかもしれません」。

男の子の衣装しか着させてくれないバレエ教室、女の子と認めない学校という“脅威”からサシャを守っていたのは、サシャの母であるカリーヌだった。しかし、リフシッツ監督がサシャと出会ったとき、カリーヌもまた追い詰められていた。

そんなカリーヌが、小児精神科医に「私が何か悪いことをしたのでしょうか?」「サシャがお腹の中にいるときに『女の子が欲しい』と思ったのがサシャの性別違和の原因?」「女の子みたいな服を着せていたのは正しかった?」などの長年の悩みを打ち明けたシーンは、感動的なシーンだったとリフシッツ監督は語る。

「小児精神科医の先生の答えはカリーヌを悩みから解放し、長年抱えてきた罪悪感や不安がほんの数分で消え去ったのです。この先生の答えを、多くの人に聞いてほしいと願っています。この映画には教育的な一面もあるのです」。

トランスジェンダーの当人・サシャだけでなく、母親のドキュメンタリーでもあるということが伝わってくるセバスチャン・リフシッツ監督のインタビュー全文はこちらから!