【週末シネマ】前作ヒットでハードル高い『ALWAYS』3作目。でも温かさは健在
原作モノや続編モノには、もう飽き飽き。だが、ときにはそうした条件にあってなお、期待を満たしてくれる作品がある。長編コミックが原作で、映画シリーズ3作目となる『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』もそうだ。
・堀北真希、飛行機雲で描かれた「333」の文字に「キレイ」と大喜び!/『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』イベント
第1作目で失われた昭和30年代の東京の町並みと空気を最新のVFXで蘇らせ、観る者を驚かせた山崎貴監督。このヒットを受けて公開された続編も大ヒット。東京オリンピックイヤーである1964年が舞台の本作では3Dを導入! 『ALWAYS』で3D!? と違和感も覚えつつ、もともとがVFXで昭和を再現した作品である。3Dに至っても当然といえば当然。そして、その効果は東京タワーを俯瞰で捉えた、冒頭の胸躍るシーンに始まり、存分に発揮されていく。
私たちを昭和の世界へと自然に迎え入れてくれる本シリーズは、VFX同様、セットと小道具の力も大きい。だが前2作を終えて、美術・小道具は全て処分。まっさらな状態から三丁目は新たに作り上げられた。そしてこれまで同様、いや、前2作以上のこだわりを、鈴木オートと茶川家の家の中や、商店街のそこかしこに感じさせ、人々の生活を伝えてくれる。
こうしたこだわりにより、観客は登場人物たちを、自らの知人のように見守ってしまう。鈴木オートの短気だが熱い心を持った社長(堤真一)や心優しきトモエさん(薬師丸ひろ子)に、集団就職で来た六ちゃん(堀北真希)。茶川家では、相変わらず貧乏作家であり続ける茶川(吉岡秀隆)に、今や彼と結婚し、そのお腹には新たな命を宿すヒロミ(小雪)。そして血は繋がれど、茶川家の大切な一員である淳之介(須賀健太)。こうした懐かしのメンバーに新しい面子も加わり、物語を動かしていく。
相変わらず可愛らしい六ちゃんもお年頃。ついに恋が訪れる! お相手はなんとお医者さま(森山未來)。しかし、たばこやのキンさん(もたいまさこ)によると、このお医者さまの評判は芳しくない……。一方、児童小説を書き続ける茶川にも問題が発生し……。
本作で中心に据えられるのは“巣立ち”。実の子ではないものの、普通の家族以上に結ばれている鈴木オートの六ちゃんと、茶川家の淳之介。5年の月日(設定だけでなく、現実も5年が経過)を、若者の変化が着実に感じさせる。特に子供だった淳之介の成長は凄まじい。終盤、かつての淳之介の映像が、ほんの一瞬、差し込まれるシーンがあるのだが、パブロフの犬ならぬ、「北の国から現象」とでも言うべき説得力で目頭が熱くなる。
そして彼らの巣立ちを見ていて感じるのは、そこには同時に太い絆が存在しているということ。絆があってこそ、巣立ちは成立する。そう感じさせる。加えて実の親子である、茶川と父との確執、裏に隠された事実も胸を打つ。
撮影技術や美術、小道具、キャラ立ちなど何層にもわたって人気作になるべきポイントを押さえている本作。肝となる脚本は、山崎監督と、その力量が高く評価される古沢良太が共同で務めている。‘73年生まれの古沢はこれまでに『ALWAYS』シリーズのほか、『キサラギ』『60歳のラブレター』『探偵はBARにいる』などを手掛けており、今後もその感性と安定感に注目である。
完全に余談だが、今回、茶川は実家を訪れる。そこは信州・松本。映画やドラマの舞台にもしばしばなる場所だが、信州出身のワタクシとしては、不自然な方言に苛立つことも多かった。だが、本作では設定を聞かずとも「おおっ! ここは信州ですね、松本ですね!」とはっきりと分かる。実は山崎監督自身が信州・松本出身のお方。完全に個人的な感想で申し訳ないが、そんなところにも感動させられたシリーズ3作目であった。
『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』は1月21日より全国東宝系にて公開される。(文:望月ふみ/ライター)
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