根津甚八、5年目の命日・・・転落の人生に美しい田園風景が絶望感を煽る
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根津甚八命日追悼上映&トークイベント
柳町光男監督の初期青春映画3作品『十九歳の地図』『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』『さらば愛しき大地』がリバイバル上映中だ。12月29日は根津甚八の5年目の命日であることから、19時30分の『さらば愛しき大地』最終上映回に追悼トークイベントが開催される。
『さらば愛しき大地』は、柳町監督自身の原風景となる故郷を描き、1982年キネマ旬報ベストテン2 位、第6回日本アカデミー賞優秀監督賞、優秀主演男優賞、優秀助演女優賞、第25回ブルーリボン賞助演女優賞、第37回毎日映画コンクール撮影賞、ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品など、国内外で絶賛された。
根津はその主人公として、情に厚い狂気をはらんだトラック運転手・山沢幸雄役を演じている。開発の波に乗り大枚を手に入れた人々が生きる故郷の狂騒の中で、転がるような人生をおくるさまは、キネマ旬報主演男優賞をたぐり寄せた。
今回の追悼トークイベントでは、柳町監督のほか、俳優として第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞『偶然と想像』に出演、映画や舞台など様々な作品で、時に親しみやすく、時に近寄りがたい存在にもなるオーラが魅力の渋川清彦を迎え、根津甚八像を語りオマージュを捧げる。
転落する男の狂気と田園の美しさのコントラスト
『さらば愛しき大地』は、農業と工業が渾然一体となる郊外都市を舞台に、農家の崩壊を描く。農家を継がずにダンプ運転手として家族を支える男が、息子の死を境に、家族を捨て、愛人と覚せい剤に溺れ、堕ちていく。転落の一途をたどる男の狂気と田園風景の美しさのコントラストで、底なしの絶望感を活写する。
『十九歳の地図』『さらば愛しき大地』は、新宿 K’s cinema にて上映中。
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