『東京家族』と『ひまわりと子犬の7日間』、家族の姿を描いた2作品の上映会が1月20日に宮崎県の日向市文化交流センターで行われ、それぞれを監督した山田洋次と平松恵美子が舞台挨拶を行った。
・妻夫木聡、「家族っていいな」と親に電話したくなった/『東京家族』舞台挨拶
山田監督作品の共同脚本や助監督を長くつとめてきた平松監督。愛弟子について山田監督は「平松君は学校』シリーズ以来長い間、僕のアシスタントをつとめてくれ、共同脚本としても名を連ねるようになった大変優秀な女性です」と称え、そんな師匠の言葉に平松監督は「一緒に脚本を、とよく言われるんですが、私は“一緒に”なんておこがましくて言えないなといつも思っているんです」と謙虚に語った。
その後の囲み取材でも改めて平松監督の存在をたずねられた山田監督は「僕と平松くんは、男と女だし、育ち方も、持っている世界も考え方も全く違う。違う者同士が違う意見をぶつけ合って作ると想像されるけれどもそうではない。僕にとって彼女は、娘みたいな若さなんだけども、2つのエンジンを回し、前に進む。ぶつかり合わないで、一緒に同じ方向に進んでいくという感じですね」と説明した。
その言葉を受け平松監督は「リヤカーを山田さんが引っ張るとすると、坂道では私は一生懸命押しますが、平坦な道になると、ときにはサボって後ろから歩いてついて行く」と補足。すると山田監督が「でもね、後ろから押していると前を引っ張っている人の背中が見える、少し疲れているな、とか、少し休んだ方がいいんじゃないかとか、そういうサジェスションが後ろにいる方ができるんですよね。もうすぐ行ったら右に曲がるんだからねとか、声をかけることができる。前は夢中になっているから遠くの方が見えないけど、後ろにいる方が少しゆとりがあって遠くが見えたりする、そういう関係があるかもしれませんね」とまとめ、息の合ったコンビぶりを披露していた。
今回、『ひまわりと子犬の7日間』で初監督に挑んだ平松監督。「監督というのは大変だなと思いました。全体を常に見渡していないといけないし、スタッフの心理状態を見ていなければならない。改めて山田監督の大きさを感じました」と師匠の偉大さを再認識していた。
最後に、愛弟子へのメッセージを求められた山田監督は「たくさんあるけれども、少しずつ言っていかなければいけないと思っています」と前置きしてから、「映画っていうのは人間を描くわけで、だからこそ、人間をどう見るか、どう描くかを考え続けていって欲しい」と話していた。
『東京家族』は現在公開中。『ひまわりと子犬の7日間』は3月16日より新宿ピカデリーほかにて全国公開される。
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