ウィル・スミスが激昂してビンタ! アカデミー賞、『ドライブ・マイ・カー』国際長編映画賞の栄冠に
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第94回アカデミー賞『コーダ あいのうた』が作品賞ほか3部門制覇
第94回アカデミー賞授賞式が27日(現地時間)、ハリウッドのドルビー・シアターで開催され、『コーダ あいのうた』が作品賞ほか3部門を受賞した。また、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞を受賞した。
・『ドライブ・マイ・カー』濱口監督、喜び爆発! アカデミー賞国際長編映画賞を受賞
フランス映画『エール!』のリメイクで、両親と兄がろう者の一家でただ1人健聴者の高校生の少女を主人公に、歌の才能を開花させる少女の自立と家族の絆を描いた『コーダ あいのうた』は、オスカー・レース終盤の映画俳優組合(SAG)賞、製作者組合(PGA)賞を受賞し、勢いが増した中での受賞となった。
国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督は英語でスピーチ。手にしたオスカー像を見つめて「あなたがオスカーですか(You are the Oscar)」と語りかけ、受賞の喜びとキャストやスタッフ関係者への感謝を語る中、退場を促す音楽が流れ始めると、「ちょっと待ってください(Just Moment)!」と制止してスピーチを続ける強さを見せた。
ハイライトの1つは、主演男優賞を受賞したウィル・スミスのスピーチだ。プロテニス選手のウィリアムズ姉妹の父親リチャードを演じたスミスは、授賞式半ばで、プレゼンターのクリス・ロックのコメント(後述)に激昂し、ステージに登ってロックの頬を叩いた。
スミスは、「リチャード・ウィリアムズは強く家族を守った男です」と語り、軽蔑や嘲笑を受けても平然と笑顔でやり過ごしてこなければならない風潮にはっきりと異を唱えた。「芸術は人生を模倣する。私はクレイジーな父親に見えますね。でも愛は私たちにクレイジーな行動を取らせます」と言い、涙ぐみながら「これは美しい瞬間で、私は受賞したから泣いているのではありません」と、自らの受賞よりもウィリアムズ家の物語に光が当てられたこと、彼らへの感謝を語った。
『DUNE/デューン 砂の惑星』は技術部門中心に6部門で受賞
監督賞は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオンが受賞し、女性監督として史上2人目の快挙となった。
最多受賞作は、技術部門中心のノミネートから着実に受賞を重ねた『DUNE/デューン 砂の惑星』。10部門候補になり、6部門を受賞した。『コーダ あいのうた』がノミネートされた3部門(作品賞、助演男優賞、脚色賞)を全制覇し、それに続いた。
授賞式で最初の受賞者となった助演女優賞のアリアナ・デボース(『ウエスト・サイド・ストーリー』)は、アフリカ系ラテン系女性として、そしてクイアとしても史上初の受賞となり、受賞スピーチでは、出自や同性愛者であることをオープンにしていることに触れて「自分のアイデンティティに疑問を持ったことがある人、グレーゾーンで生きている自分に気がついた人、みなさんに約束します。私たちの居場所は確かにあるのです」と力強く語った。
トロイ・コッツァー(『コーダ あいのうた』)の助演男優賞の受賞シーンでは、皆が両手をかざした拍手のアメリカ手話で受賞を称えた。ろう者として2人目の受賞となった彼は、手話でユーモアたっぷりに受賞の喜びを語った後、交通事故で身体麻痺になり手話でのコミュニケーションが叶わなくなった父親について、「今も私のヒーローです」と語った。
クリス・ロックとウィル・スミスの“騒動”にアンソニー・ホプキンスが…
長編ドキュメンタリー賞の発表では、プレゼンターのクリス・ロックが、ジェイダ・ピンケット・スミスの外見をからかうジョークを言ったところ、夫のウィル・スミスが壇上に上がって無言でロックの頬を張り倒した。ロックはそのままジョークで収めようとしたが、すぐ席に戻ったスミスは「妻の名前を口にするな!」と激しい口調でロックに抗議。会場が水を打ったように静まり返った。スミスは受賞スピーチでアカデミーと候補者たちに謝罪した。直後に発表された主演女優賞のプレゼンター、アンソニー・ホプキンスは「ウィル・スミスがすべて語ってくれました。これ以上言うことはありません」とコメントし、会場からは拍手も起きた。(文:冨永由紀/映画ライター)
受賞作品は以下の通り。
なお、『生中継! 第94回アカデミー賞授賞式』<字幕版>が3月28日よる10:00よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドで放送、配信される。
作品賞
『コーダ あいのうた』
監督賞
ジェーン・カンピオン(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)
主演女優賞
ジェシカ・チャステイン(『タミー・フェイの瞳』)
主演男優賞
ウィル・スミス(『ドリームプラン』)
助演女優賞
アリアナ・デボース(『ウエスト・サイド・ストーリー』)
助演男優賞
トロイ・コッツァー(『コーダ あいのうた』)
国際長編映画賞
『ドライブ・マイ・カー』
脚本賞
ケネス・ブラナー(『ベルファスト』)
脚色賞
シアン・ヘダー(『コーダ あいのうた』)
撮影賞
グレイグ・フレイザー(『DUNE/デューン 砂の惑星』)
編集賞
ジョー・ウォーカー(『DUNE/デューン 砂の惑星』)
美術賞
パトリス・ヴァーメット、ズサンナ・シポス(『DUNE/デューン 砂の惑星』)
衣装デザイン賞
ジェニー・ビーヴァン(『クルエラ』)
メイクアップ&ヘアスタイリング賞
リンダ・ダウズ、ステファニー・イングラム、ジャスティン・ラリー(『タミー・フェイの瞳』)
作曲賞
『DUNE/デューン 砂の惑星』
歌曲賞
ビリー・アイリッシュ(『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ)』
音響賞
『DUNE/デューン 砂の惑星』
視覚効果賞
『DUNE/デューン 砂の惑星』
長編アニメ映画賞
『ミラベルと魔法だらけの家』
長編ドキュメンタリー賞
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
短編ドキュメンタリー賞
『The Queen of Basketball(原題)』
短編実写映画賞
『The Long Goodbye(原題)』
短編アニメ映画賞
『The Windshield Wiper(原題)』
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