ウィル・スミス、向こう10年間アカデミー賞受賞式への出入り禁止に

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ウィル・スミス

主演男優賞は剥奪されず

先月27日(現地時間)開催の第94回アカデミー賞授賞式で、コメディアンのクリス・ロックを平手打ちしたウィル・スミスに対して、同賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が8日(現地時間)、今後10年間は授賞式の参加を禁ずると発表した。

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授賞式で長編ドキュメンタリー部門のプレゼンターとして登場したクリス・ロックが客席にウィル・スミスと妻のジェイダ・ピンケット・スミスの姿を見つけて話しかけた時に事件は起こった。髪を剃りあげたジェイダに対してロックが「ジェイダ、『G.I.ジェーン2』が待ち遠しいね」と言い、会場は軽く笑いに包まれたが、次の瞬間にスミスがステージ上のロックに詰め寄ると、突然平手打ちをして無言で席に戻った。

ロックはジェイダのヘアスタイルに、かつてデミ・ムーアが頭を丸刈りにして兵士を演じた映画『G.I.ジェーン』を関連づけてジョークを言ったのだが、ジェイダのヘアスタイルは数年前から自己免疫疾患による脱毛症に悩んだ末のものだった。

昨年からジェイダ本人がSNSで「隠すのが難しくなりそうだと思ったので、みんなに聞かれる前に剃ってしまおうと思いました」とスキンヘッドにした理由を公表している。

ターバンなどで頭を隠さず、明るく前向きに堂々と振舞っているジェイダだが、ロックから突然投げかけられた心ない言葉に表情を強ばらせ、それに気づいたスミスが席を立った。

スミスは平手打ちをした後に自席に戻り、放送禁止用語を交えながらロックに激しく抗議した。それまでは、平手打ちを演出の一部と勘違いする者もいた客席はこの時点で水を打ったように静まり返った。

スミスはその数十分後に主演男優賞(『ドリームプラン』)を受賞。スピーチでは、AMPASやほかの候補者たちに向け、自分の起こした行動について涙ながらに謝罪し、「アカデミーがまた私を招いてくれることを願っています」と締めくくった。

授賞式の翌日にはインスタグラムに謝罪声明を発表、そこでクリス・ロックにも正式に謝罪した。

だが、スミスの行為についてAMPASは授賞式当日に「アカデミーはいかなる形の暴力も容認しません」と発表し、今月18日(現地時間)に理事会での協議を予定していた。

厳しい制裁措置の可能性が浮上するなか、スミスはAMPASの処分が決定する前の今月1日(現地時間)に、自らAMPASの会員を辞することを表明し、AMPASはこれを受け入れた。これにより、理事会が8日に前倒しされ、処分が決定した。

スミスが受賞した主演男優賞は剥奪されず、授賞式参加禁止の期間を含めてアカデミー賞のノミネートを受けることも可能だ。