『八甲田山 死の彷徨』などで知られる新田次郎の小説を映画化した感動作『劔岳 点の記』の完成披露記者会見が、6月1日に東京国際フォーラムで行われ、浅野忠信、香川照之、松田龍平、小澤征悦、仲村トオル、木村大作監督が出席。映画への熱い思いを語った。
明治40年に、日本地図完成という使命を帯び、前人未踏の山・劔岳に挑む男たちの姿を描いた本作。100年前に測量隊が実際に登った足跡をたどりながらの撮影は延べ200日以上におよび、3000メートルを超える山での撮影は過酷を極めたという。
仲村は、今思えば笑える話が多いと言いながらも、キツかった登山の思い出を披露。「一番最初に山に登った時はキツくて、道中で、自分のあごからしたたっているのは汗なのか雨なのか涙なのか分からないくらいの状況でした。その時は、先に山に入っていた香川君から頼まれた高級赤ワインをリュックに入れていたのですが、この道を歩くと知っていて、あいつは俺にこれを持ってこいと言ったのかと、20年来の友情にヒビが入りそうになりました」と振り返った。
200日以上の過酷な日々を、ほとんど一緒に過ごしたという浅野と香川。浅野は「香川さんにはすべてを見せてきました」と感慨深げ。「プライベートなことも全部話して、全裸にもなったし、そんなもの見せなくていいよってところまで香川さんは見てくれたと思います」と話すと、香川も、「15回以上、浅野さんの裸を見せられて……」と苦笑。入浴も常に一緒で部屋も一緒だったそうで、「今後は、香川さんとコンビでできる刑事モノなんかがあったら……」と浅野。香川も「ぜひよろしくお願いします!」と続けていた。
69歳にして本作で監督デビューした木村監督は、『八甲田山』『鉄道員(ぽっぽや)』をはじめ数多くの名作のカメラマンを務めてきた映画界の重鎮。製作前は、監督はこれ1本にして全てをそそぎ込むと豪語していたが、完成してみると心境に変化があったようで……。
「キャンペーンで全国を回っているうちに、もう1本くらい撮ってもいいかな、と思ってきて」と照れ笑いを浮かべ、「今年は(この映画の)ギャラで食べられるけど、来年からは食えないので……。宮崎駿さんも、引退と言ってから何本も監督をしていますよね」と言い訳していた。
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