『眠りの森の美女』の悪役を
人間味あふれる存在として描く
郵便配達さんが筆者宅にピンポ〜ンとやってきて「郵便受けに入らないので」とわざわざ手渡してくれたもの、それはお中元よりもかなりかさ高いダンボール。中身は開けてびっくり、水牛のような角のついたカチューシャというか被りもの。そう、これは『マレフィセント』の宣材だ。たかが一介のライターである筆者にこんな大層なものを送ってくれるとは、ディズニーの『マレフィセント』にかける本気度がうかがえる。
『マレフィセント』はディズニーアニメの『眠れる森の美女』でオーロラ姫に“永遠の眠り”の呪いをかけた、2本の角がついた黒い魔女“マレフィセント”を主人公にした実写映画だ。『101匹わんちゃん』の悪女クルエラを実写で描いた『101』と同じく、悪役フィーチャリングものというわけだ。
もともと“マレフィセント”のキャラクターはディズニーのオリジナル。ペロー童話やグリム童話に収められた元ネタにも呪いをかける魔女や仙女は登場するが、黒いマントをひるがえす大きな角のついたマレフィセント像はディズニーアニメが生み出したものだ。角といい、黒ずくめといい、しゃくれた血の気のない顔といい、もう見るからに怖ろしい。
ただ、今回は悪役をさらに極めてファミリー向け作品にした『101』のコンセプトとは違い、邪悪な存在であるはずのマレフィセントを多面的に描き、どちらかというと大人っぽい作品に仕上げている。呪いをかけた理由も、童話では王女誕生の祝宴に招かれなかった腹いせということだったが、本作では本来はピュアな心の持ち主である妖精(あくまで魔女ではないらしい)のマレフィセントが心を開いたある人物からの裏切りに遭ったためで……と彼女の多面性、要するに人間味あふれる姿を写し出していく。
まあ、しかし、こういう強くて悪い存在の“知られざる側面”となると、弱くて優しい面となるのがお決まりのパターン。“これまで誰も知らなかったマレフィセントの予想外の姿”は、かなり予想した通りに展開していく。…後編に続く(文:入江奈々/ライター)
・【元ネタ比較】『マレフィセント』同情を買う悪役ってアリ?/後編
『マレフィセント』は7月5日より全国公開中。
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