(…前編より続く)87億円の興収をあげた『永遠の0』(岡田准一)をはじめ、『映画 謎解きはディナーのあとで』(櫻井翔)、『僕等がいた』(生田斗真)などヒット作を連発するジャニーズ俳優たち。その実力と理由を解説するコラムの第2弾。
・日本の映画界を牽引するジャニーズ俳優(前編)/ジャニーズ俳優の映画通信簿
まずは、ジャニーズ俳優たちの今年の主な主演作を挙げてみよう。
1月31日公開『ジョーカー・ゲーム』(亀梨和也)
2月14日公開『味園ユニバース』(渋谷すばる)
3月21日公開『暗殺教室』(山田涼介)
6月6日公開『予告犯』(生田斗真)
7月18日公開『HERO』(木村拓哉)
10月公開『図書館戦争-THE LAST MISSION-』(岡田准一)
秋公開『グラスホッパー』(生田斗真)
秋公開『レインツリーの国』(玉森裕太)
12月12日公開『母と暮らせば』(二宮和也)
やはり話題作が目白押しだが、今年も生田斗真の出演作が2本と目立っている。
では、なぜジャニーズ俳優の出演映画が多いのだろうか。そこにはまず、ジャニーズ事務所に所属する俳優たちの層の厚さがある。
20代から30代を中心に数多く所属し、それぞれの個性がバラエティに富んでいるから、多彩な役柄で起用されやすい。常にテレビのレギュラー番組に出演し、全国的に人気が浸透していることも、特に全国拡大公開する大作に起用するにはうってつけだ。ジャニーズ俳優が主演であれば、雑誌やテレビで取り上げられやすい面もある。しかも、テレビ局主導で映画を製作する場合、他局で紹介されにくいケースがあるが、ジャニーズの人気者ともなると他局も取り上げざるをえない。
さらに、「仕事がしやすい」ともいわれる。「ジャニーズのタレントは10代のころから仕事に対する心構えがきちんと教育されている。ベテラン俳優やスタッフが多い撮影現場では安心感につながるし、責任感を持って宣伝にも協力してくれる」(映画関係者)。
ジャニーズ独自の「俳優力」もある。ジャニーズJr.時代に先輩のコンサートで踊ったり、先輩の舞台で芝居の基礎を学ぶなど、10代の早い段階からエンタテインメントのあらゆる面を訓練されることで「俳優力」──ダンスなどで培った「身体能力&瞬発力」、コンサートやバラエティ番組、舞台を通して「見え方を掌握する力」──を培っていく。
一方、ジャニーズ俳優の主演映画は固定ファンが支えヒットに結び付きやすいとは言えるが、ファンがそっぽを向くと興収が伸び悩むこともある。例えば、11年夏に公開された『神様のカルテ』(櫻井翔)は18.9億円を上げたが、昨年春公開のパート2では10億円未満と、半分以上興収を落とした。また『クローバー』(大倉忠義)と『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(相葉雅紀)も10億円未満。どちらもラブストーリーだが、ファンにとってはお気に入りの俳優の恋愛姿を見たくないのかもしれない。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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