米アカデミー賞、わずか3億円でオスカー3本!低予算作品の可能性を印象づけた『セッション』の健闘
22日(現地時間)、ハリウッドのドルビー・シアターで第87回アカデミー賞」の授賞式が開幕。「作品賞」には、ブロードウェイ挑戦で起死回生を図る落ちぶれ映画スターを描いた『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が作品賞、監督賞などを受賞した。
最多9部門ノミネート作でもあった同作は、監督賞、脚本賞、撮影賞の全4部門を受賞。前哨戦で激しく競い合ってきたリチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』は助演女優賞の1部門受賞にとどまった。
『バードマン〜』は、かつてヒーロー映画で主役の“バードマン”を演じて人気を博したものの、今は落ちぶれた映画スターが、ブロードウェイで演出・主演を兼ねた舞台で再起を図ろうとする姿を描く。アメリカの映画界、演劇界の裏側に迫る内容、全編ワンカットで撮ったような編集など、野心的な作品だ。
『バードマン〜』と同じく最多9部門で候補になった『グランド・ブダペスト・ホテル』は衣裳デザイン賞、メイク・ヘアスタイリング賞、美術賞、作曲賞の4部門を受賞した。
主演男優賞は、ALSで闘病しながら研究に没頭し続けたスティーヴン・ホーキング博士を演じた『博士と彼女のセオリー』のエディ・レッドメインが受賞。かなり興奮し、少しうわずった調子ながらの喜びのスピーチが微笑ましかった。エディはゴールデン・グローブ賞のドラマ部門でも主演男優賞を受賞、『バードマン〜』のマイケル・キートンは同賞コメディ・ミュージカル部門で主演男優賞を受賞したが、コメディよりもドラマを好むオスカーの傾向がはっきり現われた結果だった。
主演女優賞は各映画賞で無敵の強さを見せつけてきた『アリスのままで』のジュリアン・ムーアが順当に受賞。5度目のノミネーションで初受賞の彼女も、心からうれしそうな表情でオスカー像を受け取った。
長編アニメ賞で候補になっていた高畑勲監督の『かぐや姫の物語』、アメリカで活動する堤大介が共同監督を務めた短編アニメ賞の『ダム・キーパー』は残念ながら受賞を逃した。
60年代のアメリカ公民権運動のリーダー、マーティン・ルーサー・キング牧師を描く『Selma(原題)』は主演男優賞など当然と思われた主要部門のノミネートを逃したが、ジョン・レジェンドが歌う主題歌「Glory」が歌曲賞を受賞。発表直前に歌曲パフォーマンスもあり、主演のデヴィッド・オイェロウォは感極まって号泣、最高潮に盛り上がったところでの発表に、関係者のみならず会場はスタンディング・オベーションで歓喜に沸いた。
思わぬ伏兵となったのは候補となった5部門中3部門受賞した『セッション』。助演男優賞受賞は下馬評通りだったが、『グランド・ブダペスト・ホテル』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の一騎打ちと思われたところ、編集賞、録音賞といった技術賞を獲得、低予算のインディペンデント作の可能性を印象づけた。
主な授賞結果は以下の通り
作品賞:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
監督賞:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)
脚本賞:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr.、アルマンド・ボー(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)
脚色賞:グレアム・ムーア(『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』)
主演男優賞:エディ・レッドメイン(『博士と彼女のセオリー』)
主演女優賞:ジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)
助演男優賞:J・K・シモンズ(『セッション』)
助演女優賞:パトリシア・アークエット(『 6才のボクが、大人になるまで。』)
撮影賞:エマニュエル・ルベツキ(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
編集賞:トム・クロス(『セッション』)
衣裳デザイン賞:ミレーナ・カノネロ(『グランド・ブダペスト・ホテル』)
メイク・ヘアスタイリング賞:『グランド・ブダペスト・ホテル』
作曲賞:アレクサンドル・デスプラ(『グランド・ブダペスト・ホテル』)
録音賞:『セッション』
音響編集賞:『アメリカン・スナイパー』
視覚効果賞:『インターステラー』
美術賞:『グランド・ブダペスト・ホテル』
歌曲賞:「Glory」(『Selma』原題)
外国語映画賞:『イーダ』(ポーランド)
長編アニメ映画賞:『ベイマックス』
短編アニメ映画賞:『愛犬とごちそう』
短編実写映画賞:『The Phone Call』(原題)
長編ドキュメンタリー賞:『Citizen Four』(原題)
短編ドキュメンタリー賞:『Crisis Hotline: Veterans Press 1』(原題)
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