「映画好き」と言われれば言われるほど、聞きづらくなるのが映画の一般常識。理解しているようでいて実はよく知らない。こっそり訊ねたら「そんなこと知らないの?」と呆れられそう。本コラムでは話題の映画ブルーレイを題材にしながら、いまさら聞けない映画の一般常識や用語についてお話していこう。
●今回のお題「4K(第2回)」
前回、「4Kは画面横(水平)方向の総画素数≒4000画素、画面縦(垂直)方向の総画素数≒2000画素、つまり総画素数≒800万画素の解像度を持った映像である」と簡単にご説明した。しかし一言に4Kといっても、大きく2つの規格があることを頭の隅に入れておいてほしい。
まずは、「4Kテレビ」「4K放送」という呼称に使用されている4K。これは国際電気通信連合=ITUが4Kとして定めた規格であり、横3840画素、縦2160画素、総画素数829万4400画素の解像度を持つ映像である。
これに対して、「4Kデジタルシネマ」の呼称で使用されている4K。これは、大手映画制作会社が加盟するデジタルシネマの規格を決める、デジタル・シネマ・インシアティヴ=DCIが定めた規格である。横4096画素、縦2160画素、総画素数が8847万7360画素となる映画作品の4K解像度を指し、いわゆる「映画の4K」と呼ばれるものである。
4Kと表記があってもITUとDCIの解像度は別であり、注意が必要となる。ごく簡単に差別化するなら、ITU規格=家庭での鑑賞、DCI規格=劇場での鑑賞と憶えてもらって構わない。しかし日本のデジタルシネマ上映館においては、(一部の上映館を除いて)4K上映は行われておらず、あらゆる映画がフルハイビジョン(2K)解像度でのデジタル上映となる。
それゆえに、家庭での4K映像機器による再生環境、その存在は大きな意味を持っているのだ。たとえば前回の終章で紹介した、ソニー製「Mastered in 4K」(マスタード・イン・4K)ブルーレイ。マスターに4K解像度の高画質映像を使用、高い映像ビットレートで収録したブルーレイである。
解像度はフルハイビジョン(2K)となるが、4Kテレビやプロジェクターによって2K映像信号を4K映像信号に変換(アップコンバート=アップコン)することにより、オリジナルの4Kマスターに近い高品位な画質で楽しめるというものだ。実際、2K解像度の映画館上映より、はるかに高精細な映像を楽しめる。(後編へ続く…)(文:堀切日出晴/オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター)
堀切日出晴(ほりきり・ひではる)
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。
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