有村架純のギャル姿より気になるのは…
書籍版を見かけたときから絶対に映画化されるなと確信していた。書籍版の長ったらしいタイトルよりも日本人の好きな縮めた俗称のほうが浸透したからか、はたまたネタバラシになるからか(メインビジュアルには書籍版タイトルが副題のように入っているが)映画化タイトルは『ビリギャル』だ。いまさらネタバレではないだろうと思うので言うと、あらすじはオチまですべてを語っている書籍版のタイトルそのまんま、「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」だ。
映画化に際してキャスティングが注目され、賛否両論を巻き起こした。主人公の筋金入りのビリギャル・さやかを演じるのは有村架純だ。有村架純とはまたギャルのイメージからほど遠い。この物語は実話であり、実物のさやかさんはメディア露出もしているので広く顔も知られているわけだが、ギャル時代はイメージ通りの名古屋嬢で少々品がな…いや、一般の方なので自粛しておくが、個人的には木下優樹菜系の印象を持った。そんなイケイケなギャルを『ストロボエッジ』で清純派ヒロインを演じた記憶も新しい有村架純が演じるとなるとギャップはある。
ちなみに書籍版の表紙モデルをした石川恋のほうは、これで注目されたこともあってギャル以外考えられないほどハマっているが、彼女はもともと偏差値70以上で、ビリでもなければ実はギャルでもない。しかし、ビリギャルのイメージでいつもギャル役ばかりで芸能活動の幅が広がらない、という逆の悩みを持っていた。今は髪を黒く染めてイメージチェンジを図っているが。いろんな形でさやか役は波紋を広げており、それだけ世間の注目を集めていることがわかる。
さて、有村架純に話を戻すと、ギャルを演じられるのか?との不安の声もあったが、さすがは女優といったところ。ハマっているとは言わないまでも、見慣れてきたのかギャル姿もコスプレっぽい違和感はないし、なんと言っても感情移入させてくれるからギャルっぽいかどうかより、さやかとしての人間性に引き込きこんでくれるのだ。
そんなわけで、さやかに扮する有村架純は問題なく安心して見ていられる。しかし、筆者がキャスティング発表で気になっていたのは有村よりも、実は塾講師であり原作者でもある坪田先生役を演じる伊藤淳史のほうだった…。(中編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)
『ビリギャル』は5月1日より全国公開中。
・(中編)大人目線で『映画 ビリギャル』をチェック! ギャルな有村架純に違和感ないが、描き方がピュア過ぎ!?
・(後編)大人目線で『映画 ビリギャル』をチェック! ギャルな有村架純に違和感ないが、描き方がピュア過ぎ!?
入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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