2大アメコミ出版社の映画戦略を2回に分けて解説します。1回目はマーベル。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が大ヒット中のマーベルだが、2019年までのラインアップを早々と発表している(公開日は全て米国でのもの)。
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15年 7月17日『アントマン』
16年 5月6日『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』
11月4日『ドクター・ストレンジ』
17年 5月5日『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』
11月3日『マイティ・ソー/ラグナロク』
18年 5月4日『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー PART1』
7月6日『ブラック・パンサー』
11月2日『キャプテン・マーベル』
19年 5月3日『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー PART2』
7月12日『インヒューマン』
これまではアイアンマン、ハルク、キャプテン・アメリカ、ソーの4人を中心に映画製作を進めてきたが、今後は新たなヒーローを増やしていく戦略だ。
さらに、『アベンジャーズ』以外にも「ヒーローそろい踏み」映画を増やす。それが『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』だ。
実はこの映画にはアイアンマンも登場する。本作では、超人的能力を持つ人々に対する規制を行う法律が施行されたことで、アベンジャーズ内で対立が起き、キャプテン・アメリカとアイアンマンがそれぞれの派閥のリーダーとなって、バトルを繰り広げると噂されている。さらにスパイダーマンの登場も噂されている。
実はスパイダーマンはソニー・ピクチャーズが製作しており、権利の関係からマーベルが製作する映画には登場しなかった(X-MEMも同じ)。だが両社は提携を結び、『スパイダーマン』を共同製作すると発表。ソニーは18年の公開に向けて予定していた『アメイジング・スパイダーマン3』を取りやめ、共同で新たな『スパイダーマン』シリーズを立ち上げる。公開予定は17年7月28日で、主人公のピーター・パーカー役には、前2作のアンドリュー・ガーフィールドではなく、新たな俳優を起用するとみられる。マーベルでは自社の製作する映画にスパイダーマンを登場させることが可能になる一方、ソニーではマーベル映画にスパイダーマンが登場することでキャラクターの人気が高まり、スパイダーマン映画の大ヒットに結びつくため、両社が手を結んだようだ。
さらに、マーベルに権利が戻ってきたヒーローもある。2003年に20世紀フォックスが公開した『デアデビル』だ。フォックスではマーベルヒーローの『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』をシリーズ化しているが、『デアデビル』は興行的に振るわなかったことから、1作で製作を中断している。マーベルと映画会社の契約では「何年間か映画やテレビを作らなければ、権利がマーベルに戻る」内容といわれており、『デアデビル』の権利がフォックスからマーベルに戻った。マーベルではネット配信大手のネットフリックスと共同で『デアデビル』のテレビシリーズを製作し放映。好評だったことからシーズン2の製作が決まっている。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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