●ネットフリックス強さの秘密(後編)
「動画配信サービスの戦国時代到来!」と題した3回連載のコラム。2回目は「ネットフリックス強さの秘密(後編)」。
・Netflix、アマゾン…動画配信サービスの戦国時代到来!(1回目)
ネットフリックスが今、力を入れているのがオリジナルコンテンツの製作だ。視聴可能なコンテンツ数を明らかにしていないが、2015年にコンテンツの獲得・製作に30億ドル(3600億円)以上を投資する計画だという。
コンテンツの獲得にあたっては、Huluやアマゾンなど他の動画配信サービスと競争が激しくなっている。またコンテンツ製作者自らが動画配信サービスを行うケースも出ている。そこで、自ら製作することでコンテンツを増やしているのだ。しかも自ら製作すれば世界中で配信することができる。
13年、ネットフリックスが製作したオリジナルドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』がネット配信のドラマで初めてエミー賞を受賞(監督、撮影、キャスティングの3部門)し、大きな話題となった。最近もエミー賞や映画祭で評価されるドラマ・映画が生まれている。ドラマ『ベターコール・ソウル』が今年のエミー賞でドラマ部門作品賞や主演男優賞など7部門でノミネート。映画『ビースト・オブ・ノーネーション』がベネチア映画祭のコンペ部門に選出され、キース・リチャーズのドキュメンタリー映画『アンダー・ザ・インフルエンス』はトロント映画祭でワールド・プレミア上映され話題となった。
またネットフリックスとマーベルがタッグを組んだヒーローアクション大作『ジェシカ・ジョーンズ』が11月20日に配信される。ネットフリックスはマーベルの『デアデビル』を皮切りに、『ジェシカ・ジョーンズ』『アイアン・フィスト』『ルーク・ケイジ』というシリーズを4作作り、それらが全て集結する『ディフェンダーズ』を製作することも発表している。
さらに、16年にはブラッド・ピット主演作『ウォー・マシーン』(原題)や武侠映画『グリーン・デスティニー』の続編(ユエン・ウーピン監督)も予定されている。
日本発のオリジナルコンテンツとしては、フジテレビ製作で10代、20代に人気を誇る『テラスハウス』新シリーズや、桐谷美玲主演でランジェリー業界に働く女性を描く連続ドラマ『アンダーウェア』もある。16年にはピース又吉の芥川賞受賞作『火花』の映像作品の独占配信を目指す。
有名クリエイターがネットフリックスで作品を作ろうと集まってくるのは「クリエイティブ・フリーダム」という考え方があるからだという。
ネットフリックスでは、同社のコンテンツ担当者が企画にゴーサインを出すと、製作自体はクリエイターが自由に作ることができる。例えば、地上波のテレビドラマのように、放送時間の制限はない。ネットフリックスでは1シーズンの全エピソードを一気に配信するため、1話ずつ無理に盛り上がりを作る必要もない。全エピソードを通して、盛り上がりをどこに持っていくのか、クリエイターが自由に構成できるのだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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