【ついついママ目線】中編/ラブコメを見ててもつい気になる子どものパートナー選び『俺物語!!』
主人公こそ外見で惚れてるじゃないか!
(…前編より続く)
原作・河原和音、作画・アルコによる別冊マーガレットに連載中の同名漫画を映画化した『俺物語!!』。元ネタはれっきとした少女漫画だが、主人公は剛田猛男というとても高校生には見えない、少女漫画に有るまじきむくつけき大男だ。猛男は漢気があって純情でまっすぐ過ぎて不器用、という想像通りな男で、男にからまれている(原作では痴漢に遭っている)女子高生の大和凜子を彼が助けて一目惚れしたことから物語は展開していく。
・【ついついママ目線】前編/ラブコメを見ててもつい気になる子どものパートナー選び『俺物語!!』
その見た目から凛子の女友だちに笑われてしまう猛男に思わずキュンとなってしまうが、猛男のほうも見た目に囚われてるんじゃないか?とはたと思う。
猛男は恋愛に興味なさそうでいて案外、惚れっぽい男。映画の序盤の中学校の卒業式でも、想いを寄せていた佐藤さんに告白しようと、慕ってつめかけてきた男子たちを振り切っていく。でも、佐藤さんとはとくに交流があったわけでもなく、なんとなくかわいくて委員会が一緒でちょっと愛想良くされただけ。しかも、実は性格が悪いことも後でわかる。それなのに猛男はそんなことはつゆ知らず、告白しようとするほど惚れている。
凛子にしたって、男にからまれている姿はいたいけで守ってあげたいツボを刺激し、スイーツ作りが得意で女子力高く、やっぱり見た目がかわいい。性格は悪くなく猛男を好きになるようなピュアな子で、映画版のほうが天然っぷりが強く清楚さが足りないが、原作では線の細い女子らしい女の子。結局、客観的に見ると猛男だって見た目で判断してるってことだよねぇ、と肩を落としてしまう。
一方、見た目に惑わされず冷静な目を持っているなぁと思わせるのは、本作のキーパーソンである砂川誠、通称“すな”だ。すなはクールなイケメンで、映画化では鈴木亮平のトレースぶりばかり注目されていたが、個人的にはすなの仕上がりも本作の出来を左右すると思い注目していたところ、「MEN’S NON-NO」の専属モデルの坂口健太郎が好演してくれてホッとした。
猛男が凛子に対して踏み出せない原因はすなの存在──凛子もご多分にもれずにすなのことが好きなのだと思い込んだわけで、過去に猛男が惚れてきた女子は皆、すなのことが好きというほどイケメンのモテ男だ。でも、すなはことごとく女子になびかなかった。なぜなら、冷静に女子の内面を見抜いていたからであり、佐藤さんの裏の顔もきちんと洞察できていた男なのだ。(後編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)
・【ついついママ目線】後編/ラブコメを見ててもつい気になる子どものパートナー選び『俺物語!!』
『俺物語!!』は10月31日より全国公開される。
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