(…前編より続く)
▲【8位予想】『ラスト・ナイツ』
『CASSHERN』(04年/松竹)や『GOEMON』(09年/松竹・ワーナー)の紀里谷和明監督が、「忠臣蔵」の世界観をモチーフにハリウッドで製作した忠義の物語。クライブ・オーウェン、モーガン・フリーマンという世界的大スターが主演を務める。
前述の『CASSHERN』、『GOEMON』共に最終的に興収15億に届くスマッシュヒットを遂げた。しかし紀里谷監督が「本作の公開及び宣伝は大いに苦戦している」と語るように、状況的には厳しいという。
それでも、テレビ朝日系で放送中の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』に出演し、過去を赤裸々に語りネットニュース等で大いに話題になるなど、紀里谷監督自らプロモーション活動の先頭に立ち、映画に対する想いをアピール。“苦戦”と言いつつも、約200館での上映と数はそろった。作品の世界観や映像表現は非常にユニークで“気づき”が多い作品。5〜10万人の集客は期待したいところだ。
・【週末シネマリサーチ】前編/注目! しくじり先生・紀里谷監督の“ハリウッド映画”は果たして何位に!?
【注目シネマ】
*『恋人たち』
『ハッシュ!』(02年/シグロ)や『ぐるりのこと。』(08年/ビターズ・エンド)の橋口亮輔監督が7年ぶりにメガホンをとったオリジナル作品。通り魔事件で妻を亡くした男と現状に不満を抱く主婦、同性愛者のエリート弁護士という3人の交流を描く。
数々の名作を送り出してきた橋口監督。小規模公開のため、動員ランキングなどに顔を出す作品はないが、作家性の強い作品には多くのファンがいる。ホームともいえるテアトル新宿前では、積極的にビラを配っているスタッフも見受けられ、公開に向け徐々に盛り上がりをみせている。インパクトのある数字は出ないだろうが、非常に注目度の高い作品だ。
*『FOUJITA』
1920年代にフランスで活躍した日本画家・藤田嗣治の人生を、映画『死の棘』の小栗康平監督、オダギリジョー主演で描いた物語。オダギリのほか、中谷美紀、加瀬亮、岸部一徳らが出演。
11月4日には美大生限定トークイベントを行い、オダギリが普段は役者としての我を出すタイプだったが、この作品では小栗監督にすべてを任せたと発言し“ゼロ反抗”という言葉がクローズアップされた。受賞はならなかったが、第28回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され話題になるなど、注目度の高い作品であることは間違いない。
(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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