地味めな原作に派手さをプラスして痛快娯楽作に!
(…前編より続く)「カバチタレ!」や「極悪がんぼ」の原作で知られる田島隆原作による、別冊ヤングチャンピオンで連載中の同名コミック(連載開始時は「奮闘!びったれ」(きばれ!びったれ))を映画化した『びったれ!!!』が公開される。元ネタのコミックはアクションが少なく、見せ場も弱くて、どうも地味な印象は否めない。
・【元ネタ比較】前編/元極道の法律家が弱者の味方として奮闘する『びったれ!!!』
法律ものだからそれでいいのかもしれないが、せっかく極道アクションの要素もあるのにもったいない気がするところ。それに比べるとこの実写版は、そのストレスを解消してあまりあるほどに、アクションの見せ場は派手にかましてくれる。主人公の三変化も原作漫画よりも漫画っぽいほどにわかりやすい。主人公演じる田中圭の食えない男なムードが活かされて、一見すると好青年だけど実はヤバい男というキャラが成立しているのだ。深夜ドラマらしくわかりやすいということは若干古臭さにも通じるが、メリハリのある演出は痛快ストーリーにはぴったり。
法律解説も原作漫画ではセリフや細かく書かれた文章で処理されているだけだが、ドラマでは重要単語だけを抜粋してエヴァンゲリオンのサブタイトル風ロゴでババンと登場させてインパクトを与えているのも効果的だ。
映画版でも監督はテレビシリーズと交代しているものの、その手法は用いられて、法律で真っ向から相手に勝負を挑む「ココ!」ってシーンで登場する。
中には「不動産 売買契約」なんていう、法律用語でも重い言葉でもないものもあるが、エヴァ文字で出されると、なんかよくわからないけど怖気づいてしまう。そういえば気のせいか音楽もエヴァっぽいような。こんなところにまで影響を及ぼすとは、エヴァンゲリオンの存在ってパネェ……。
さておき、さらに映画版では、伊武が裏社会に足を踏み入れることとなった極悪な父親を竹中直人が得意の怪演で扮し、主人公・伊武との因縁が描かれてドラマティックに盛り上げる。また、森カンナ演じる伊武の所属する司法事務所の所員である杉山栄子とのほのかな恋愛や、伊武の姉の忘れ形見で、彼がシングルファーザーとして育てる女の子・かりんとの微笑ましい交流も描かれる。
『びったれ!!!』のタイトルや赤い文字のロゴの入ったビジュアルからハードな極道ものをイメージするかもしれないが、ハード過ぎることはなく、義理と人情、そして法律が絡み合う痛快ドラマ。原作漫画の味わいをいかしつつ、原作漫画を超える派手なシーンも用意されたエンターテインメントに仕上がっている。(文:入江奈々/ライター)
『びったれ!!!』は11月28日より全国公開される。
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