2015年の映画会社の勝ち組・負け組を「日本編」「ハリウッド編」の2回に分けて取り上げます。今回は日本編です。
1月から12月13日までの映画会社別の全米での総興行収入を見ると、勝ち組の筆頭はユニバーサルの23億8200万ドル。2000年以降、1度も首位に立ったことのない同社にとって初めての首位、しかも前年の11億1500万ドルから2倍以上の伸びだ。日本でも大ヒットした『ジュラシック・ワールド』(6億5200万ドル)、『ワイルド・スピード/SKY MISSION』(3億5300万ドル)、『ミニオンズ』(3億3600万ドル)に加え、『ピッチ・パーフェクト2』『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』『ストレイト・アウタ・コンプトン』が興収1億5000万ドルを超えるヒットとなった。
2000年代はヒット作に恵まれなかったユニバーサルだが、2009年にケーブルテレビ大手のコムキャストがNBCユニバーサルの経営権をゼネラル・エレクトリック(GE)から取得してから変化してきた。GEは航空機エンジンや医療機器、発電事業など幅広い分野でビジネスを行っていたため、映画製作に積極的とはいえなかった。だがコムキャストはケーブルテレビという事業柄、映画製作に力を入れているからだ。
2010年、ユニバーサルが提携を結んだCGアニメプロダクション、イルミネーションの1作目『怪盗グルーの月泥棒』が大ヒット。以降、同社が作るアニメがファミリーブランドの柱のひとつとなる。そして今年『ジュラシック・ワールド』がメガヒットを記録し、他にもヒット作連発で「ユニバーサル復活」を強く印象づけた。
2位はウォルト・ディズニー(16億600万ドル)。日本でも大ヒットした『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(4億5900万ドル)、『インサイド・ヘッド』(3億5600万ドル)、『シンデレラ』(2億100万ドル)、に加え『アントマン』が興収1億5000万ドルを超えるヒットとなった。12月18日からは『スター・ウォーズ フォースの覚醒』が公開されるが、ユニバーサルとの差を考えると抜くのは難しそうだ。
一方、負け組は洋画メジャー6社中、最下位のパラマウント(5億8700万ドル)。インディーズの大手ライオンズゲート(6億4700万ドル)にも抜かれている。『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』『スポンジボブ 海のみんなが世界を救Woo(う〜)!』の2本が興収1億5000万ドルを超えたが、2億ドルには届かなかった。しかも公開本数が9本と少ないことも最下位に直結した。アーノルド・シュワルツェネッガーが12年ぶりに出演することで期待された『ターミネーター:ジェニシス/新起動』は9000万ドル弱。「3部作で2作目を2017年、3作目を18年に公開する」と発表しているが、興収の伸び悩みから2作目の製作には入っておらず、3部作の計画が宙に浮いているようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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