前編/原作あり映画、2015年ベスト10はこれだ! 残念感いっぱいのあの実写、興収1位のあの大作の評価は?

#元ネタ比較

『映画 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』
(C) 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.
『映画 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』
(C) 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.

2015年も多彩な元ネタ映画が公開されて、ワクワクと楽しませてくれた。数々の作品の中からマイベスト10を決定しよう。しかし、こうやってみると、つくづく偏っているなぁと実感。ヒット映画の鉄板となったキュンキュン系少女マンガの実写化群、『ストロボ・エッジ』『ヒロイン失格』『orange-オレンジ-』などなどは嫌いなわけじゃないのだけど、個人的なツボをくすぐられず選外に。『ラブライブ!The School Idol Movie』は元ネタのメディアミックス展開に乗り遅れてラブライブ弱者となってしまい、不覚。あ、『心が叫びたがってるんだ。』を入れるの忘れてた……ってこれは元ネタじゃないのだった。

●第10位-第6位

第10位:『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

原作は累計5000万部を突破したモンスター・コミック! まさかの実写化の決定からキャスティングが発表されるたびにニュースが駆け巡った!と鳴り物入りの作品だったのに、蓋を開けてみればなんじゃこりゃ?な残念感いっぱいの仕上がりに。一番人気と言える原作キャラクターのリヴァイ兵長は登場しないし、エレンは巨人たちを「駆逐してやる!」という勢いのない腰抜けだし。それになんといっても、平成ガメラシリーズの特技監督の樋口真嗣監督が手がけた演出によって、怪獣映画を思わせる古臭さがそこはかとなく……。巨人による人間の捕食シーンのスプラッタぶりをがんばったところは唯一の救いだろう。

第9位:『ビリギャル』

言わずと知れたベストセラーが原作で、実話である元ネタが「映画か!?」と驚くような現実離れした話だから、映画化は当然と言えば当然。主人公ビリギャルに有村架純がキャスティングされたときは不安に思ったものだが、ギャル姿に違和感がないのはさすが女優だ。ただ、原作者でもある塾講師を演じた伊藤淳史は老獪な塾講師の抜け目のなさは微塵もなくてイメージ通り誠実過ぎ。サクセスストーリーだけでなく、家族の葛藤も見どころなのにきれいごとに収まってしまっているのは物足りない。

第8位:『脳漿炸裂ガール』

作品の内容としては、アイドルや若手女優を起用したよくありがちなSF学園アクションもの。ミッションをクリアしなければ死んでしまうという理不尽なデスゲームが唐突に始まって巻き起こるサバイバル・パニックもパターンだ。ただ、この作品の元ネタはなんとボカロ曲! 中高生をはじめ若い世代がネット動画で夢中になっている、そのボーカロイド楽曲を初めて映画化したことに意味があるだろう。2016年には『桜ノ雨』『ずっと前から好きでした。〜告白実行委員会〜』が公開予定だし、ボカロ曲映画化は定番となるか?

第7位:『映画 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』

『ウォレスとグルミット、危機一髪』 に登場するキャラクターから派生して、もはやこちらのほうが有名なぐらいな人気者。映画版でも1話7分ほどのテレビシリーズの持ち味が生かされ、20年前から変わらないクレイアニメの手作り感ある動きがかわいく、理解できるセリフはなくスラップスティックな笑いがいっぱい。山間の牧羊場や都会の二階建てバス、シニカルなテイストやゲイっぽいムード(?)といったイギリスらしい雰囲気もいい。いつもはショーンと攻防を繰り広げている牧場主との絆にジーンともさせられた。

第6位:『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』

日本でもキャラクターとしてジワジワと浸透してきている黄色くて四角いスポンジ・ボブ。いかにもアメリカーンな見た目は品がなくてかわいくないが、純粋でおバカで友だち思いで超ポジティブで、中身はゆるキャラのようにかわいい。映画版でもその幼児並みのかわいさが炸裂。下手にドラマティックに盛り上げようとせず、テレビシリーズのノリのまま底抜けにくっだらなく突っ走ってくれた。CGで描かれてもグレードアップせずに内容ゼロなストーリーで、子どもが見ても愉快で楽しく何も考えずに笑えるのがいい。(後編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)

【元ネタ比較】後編/原作あり映画、2015年ベスト10はこれだ! 残念感いっぱいのあの実写、興収1位のあの大作の評価は?

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