テーマは「音楽のよかった映画」。当コラム【映画を聴く】で2015年にピックアップした約60作品の中から、特に印象に残ったものを選びました(ドキュメンタリーとライヴは除く)。
1位『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
2位『はじまりのうた』
3位『セッション』
4位『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』
5位『Dearダニー 君へのうた』
6位『わたしの名前は…』
7位『リザとキツネと恋する死者たち』
8位『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』
9位『モーターズ』
10位『あの日のように抱きしめて』
2014年のベスト10(https://www.moviecollection.jp/wp/news/detail.html?p=7749)では『ジャージー・ボーイズ』(フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ)、『グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの』(ジェフ・バックリィ)、『ストックホルムでワルツを』(モニカ・ゼタールンド)など、実在するミュージシャンの半生を描いた伝記映画が上位を独占したのですが、今年の10作でそれにあたるのは4位の『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(ブライアン・ウィルソン)のみ。監督や脚本家の実体験に脚色を加えたと思しき“半フィクション”的な良作が多かったように思います。
1位『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』はまさにそういう作品で、監督はスコットランドの人気グループ、ベル&セバスチャンのスチュアート・マードック。グループ結成までのいきさつにさまざまな妄想が加味された青春ミュージカルで、彼のストーリーテラー/ソングライター/アートディレクターとしての才能が総合的に発揮された珠玉の監督デビュー作。映画とポップ・ミュージックが好きな人なら、心躍る場面の連続なので、未見の方は2月発売のDVD/Blu-rayをぜひ。
2位『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督と3位『セッション』のデイミアン・チャゼル監督も、それぞれミュージシャンだった経歴を持つ人たちだけに(カーニー監督はロック・バンドのベーシスト、チャゼル監督はジャズ・ドラマー)、音楽の扱い方がとても巧い。SNS時代のミュージシャンのあり方をポジティヴに描いた『はじまりのうた』に対し、『セッション』は「こんなの音楽映画じゃない」という声も少なからず上がった問題作。同じように監督自身と音楽の関係を描きながらも、そのアプローチは対照的さと感じました。(後編へ続く…)(文:伊藤隆剛/ライター)
・【映画を聴く】(後編)2015年・音楽のよかった映画ベスト10/ブライアン・ウィルソン伝記はぶっちぎりの傑作!
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