SMAP騒動が世間を賑わしているが、ハリウッドでこういうことはあるのだろうか? 答えは「ない」。日本ではタレントが所属する芸能事務所を辞めて独立する際、事務所側ともめることがしばしばある。時には芸能界から干されることもあるといわれる。ハリウッドでも「円満退社」にならないケースはあるだろうが、その後の活動に支障をきたすようなことはない。
例えば、昨年夏にマライア・キャリーが大手エージェンシーCAAからUTAへ、秋にジャッキー・チェンがWMEからCAAへ、今年に入りレディー・ガガがWMEからCAAへ移っているが、これまでと同じように活動している。ケイト・ベッキンセールのように、昨年4月にUTAからCAAへ移り、11月にまたUTAに戻るというケースもある。
日本ではタレントは芸能事務所に所属し、仕事のあっせんからスケジュール管理まで事務所が一括して行う。タレントは会社員のように事務所から給料をもらう。
一方ハリウッドでは俳優は個人事業者。オーディションの情報収集から契約・ギャラの交渉を行うエージェント、俳優と一緒に仕事を選定したりスケジュール管理を行うマネジャー、撮影現場で身の回りの世話や雑用を引き受けるアシスタントなど、仕事が分業化され、俳優が各人と契約を交わす。そして俳優が各人にギャラの数%を支払う。エージェントが所属するのがエージェンシーで、俳優は自分にエージェンシーが合わないと移籍する。
ハリウッドには様々なエージェンシーがあるが、中でもCAA(クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー)、UTA(ユナイテッド・タレント・エージェンシー)、WME(ウィリアム・モリス・エンデヴァー)、ICMパートナーズが4大エージェンシーだ。
日本の芸能システムとハリウッドが大きく異なる点はもう1つ。日本の芸能事務所は“先行投資”、すなわち「タレントが売れない若い頃から育てていく」をするが、ハリウッドにはない。俳優はあくまで個人事業者なので、自らがオーディションで役を勝ち取っていかなくてはならない。エージェントはオーディション情報を収集してきても、監督やプロデューサーにキャスティングを働きかけることはしない。
ただし大物俳優となると話は別。大物俳優が多数所属する4大エージェンシーは自社で契約を結んでいる俳優、監督、プロデューサー、脚本家を組み合わせて映画の企画を作り、映画会社に売り込む。企画が通り製作にこぎつければ、エージェンシーは俳優や監督などからそれぞれ手数料を得ることができるため、力を入れているといわれる。この手法は「パッケージング」と呼ばれている。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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