【週末シネマリサーチ】後編
〜意外なところにヒットの秘密が!〜
(…前編「岩田剛典『植物図鑑』が上位予想」より続く)
・【週末シネマリサーチ】前編/岩田剛典、綾瀬はるか、玉木宏が激突!
◆メガヒットのお下品ヒーローと
妄想女子の綾瀬はるか、探偵役の玉木宏が三つどもえ!
〇【3位予想】『デッドプール』
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』に登場していたおかしなヒーロー、デッドプールを主人公にしたアクションエンターテインメント作品。恋人との結婚を控えバラ色の人生を送るはずだった元傭兵のウェイドは、突然ガンで余命わずかだと言われる。ある人体実験を受ければ、永遠の肉体を得られるとそそのかされたウェイドは手術を受けるが、あまりにも酷い顔にされてしまい、復讐を誓い「デッドプール」となりハチャメチャなアンチヒーローへと変貌と遂げるというストーリー。
全米で2月12日に約3800館で公開されるや、週末興収は1億3240万ドルという超ロケットスタートを切った。これはフォックス史上最高のオープニング興収であり、大きく報じられた。ちなみに『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(20世紀フォックス)の日本でのオープニング3日間の成績は、動員数18万2000人という結果だった。
日本でもマーベルコミック原作の作品は、大きく崩れることはほぼない。これまでのヒーローとは大いに異なり、下品で型破り。こうした目新しさを訴求ポイントにプロモーションは展開しているが、どこまで日本のファンに受け入れられるのかは興味深い。映画ファーストデー(6月1日)公開のため、口コミでさらに話題になれば、週末の動員につながりそうだ。15-20万人が目安か。
▲【4位予想】『高台家の人々』
森本梢子の人気コミックを、綾瀬はるか、斎藤工の共演で実写映画化。人の心を読む力を持つ高台家の三兄妹の長男・光正は、家柄、容姿、才能のすべてを兼ね備えていることから近づいてくる女性は後を絶たない。しかし、相手の心が読めてしまう光正は、人間関係に距離を置くようになってしまう。そんな中、妄想が趣味という木絵の純粋な心に触れた光正は、彼女に興味を持ち……。
綾瀬はるか&東宝のタッグは、『ギャラクシー街道』(15年)が全国433スクリーンで初週土日動員19万9000人、『海街diary』(15年/東宝、ギャガ)が全国323スクリーンで初週土日動員18万1000人、『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』(14年)が全国300スクリーンで初週土日動員11万9000人という結果がある。
上記結果をみても基本的に大崩れない組み合わせ。ちなみに松竹配給の『映画 ひみつのアッコちゃん』(12年)も全国217スクリーンで公開され、初週土日動員12万8000人。本作も300館以上で上映されることを考えれば、10万人を切ることはまずないだろうと予想できる。
△【9位予想】『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』
島田荘司の「探偵・御手洗」シリーズの一作「星籠(せいろ)の海」を映画化。主人公・御手洗潔を玉木宏、事件解決のアシスタント・小川みゆきを広瀬アリスが演じる。
メガホンをとった和泉聖治監督は『相棒』シリーズなどを手掛けており大きな集客動員実績がある。『相棒』以外での東映とのタッグは『HOME 愛しの座敷わらし』(12年)が、全国228スクリーンで公開され、初週土日動員4万5000人という結果。
本作は約150館での上映。5月11日には完成披露試写会が行われ、玉木が広瀬を「よくしゃべる体育会系」と評し、メディアを沸かせた。原作シリーズは非常に人気あり、作品の知名度も高い。キャストも旬なメンバーを揃えてあり、それなりの動員数は見込めそうだ。
【注目シネマ】
*『団地』
『顔』(00年//東京テアトル)の阪本順治監督と藤山直美が、15年ぶりにタッグを組んだ物語。団地に引っ越してきたある夫婦が、閉鎖された世界ならではの噂を利用して騒動を引き起こす様子をシニカル&コミカルに描く。
劇場公開数は25館程度。小規模公開だが、ファンにとっては待望のタッグ。さらに岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代など個性的な俳優たちが、どこを切っても癖のあるキャラクターを怪演しており見どころ満載。急展開するストーリーにも驚かされる。ぜひとも注目したい作品だ。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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