6月1日に封切りとなった『デッドプール』が、公開42日目となる7月12日時点で観客動員137万9783人、興収20億564万1300円と、興収20億円を突破する大ヒット! 『X-MEN』シリーズのスピンオフとして製作されながら、本家を上回る興行成績を残せた背景には、ターゲットを見定めた宣伝展開があった。
・6月の興収1位はあのお下品ヒーロー! 若者のハートをつかんだPR戦略とは!?
まずは、これまでの優等生的なヒーロー像とは一線を画すユニークなキャラクターを生かすため、宣伝ではシリーズ色を出さず、全く新しい映画として打ち出した。さらに新しいキャラクターを浸透させるため、熱心なコアファンの力を最大限に活用する宣伝展開を構築。
アメコミ映画にありがちな俳優やタレントを吹き替えに起用せず、5月11日に行ったIMAXでのファン向け先行試写会で、吹き替えは声優で行うことを敢えて発表。同日ニュースでも情報解禁し、その方針を支持するコメントがツイッターに溢れた。
また、トラッキングから洋画のコアファンに比べて若い層の認知・意欲度が高いことを確認しデジタルに注力。オンラインニュースには必ず動画をつけてリリースすることで、テレビ媒体の露出を保管し、早い段階から若年層における認知・意欲度の獲得に繋がった。
さらに、口コミを狙って大規模な試写会を行い、Buzzes!(バジズ)にてコメントを拡散。gifアニメをつけてコメントするシステムを組み、3段階で期間限定コンテンツをアップすることで強力に参加を促進。結果として約177万人へのコメント拡散につなげた。Buzzes!は2013年に開始された業界初のユーザーコメント拡散システムだが、『デッドプール』の177万人という拡散人数は、洋画・邦画を問わず、全作品を通じてBuzzes!史上トップの拡散数となる。
SNSでは、メディアによって投稿コンテンツを変える緻密な展開が功を奏した。豊富な画像および動画コンテンツを武器に、フェイスブックで綿密なスケジュールを組んだ上で、ツイッターでは日本のカルタを活用した“かるたプール”など独自コンテンツを開発。さらにインスタグラムでは日本の観光スポットやイベントに参加する“出張プール”を投稿するなど、異なるコンテンツの展開によって、作品の魅力を多角的に訴求。結果として、意欲度が右肩上がりに高まっていった。
また、「第四の壁」を破るキャラクターを生かして、ツイッターではフォロワーに積極的に絡むことでアカウント自体が話題となり、7月14日現在で9万人を超えるフォロワーを獲得。フェイスブックの国内「いいね!」数も3万5000人を超えている。ツイッターで9万人を超えるフォロワー数は国内洋画ではトップである。
こうした緻密な宣伝戦略が功を奏した『デッドプール』。その快進撃はまだまだ続いていきそうだ。
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