原作と映像化された作品を、重箱の隅をつつくように細か〜く比較する【元ネタ比較】。今回は『ダブルミンツ』を取り上げます。
【元ネタ比較】『ダブルミンツ』前編
熱狂ファンを持つ中村明日美子原作を実写映画化
またも、「こんなの実写化できるのか?」と疑いたくなる漫画が実写映画化されてしまった。中村明日美子原作のBL漫画「ダブルミンツ」だ。
・「この世には恋愛と性欲しかないのか!?」と突っ込みたくなるドロッドロでクズな恋愛ドラマ
中村明日美子は熱狂的ファンを持つ人気漫画家ながら、漫画好きなら誰もが知るというタイプではない。BL作品を多く手がけ、BL作品でなくても特殊な世界や人間関係を扱ったものが多く、好きな人はたまらなく好きだが、心の琴線に触れない人には響かない個性的な作品を生み出す漫画家だ。
テイストはさまざまで、カラッと明るくコミカルなものもあれば、ドロッと暗くシリアスなものもある。最近では中村明日美子原作のBL漫画「同級生」がアニメ映画化されて話題となったので、その作品で中村明日美子の名前を知る人もいると思う。
物語は主人公の壱河光夫の携帯電話に一本の電話がかかってきたことから始まる。−−「すぐ、こっちに来い。女を殺した」。命令口調の声の主は高校の同級生で、光夫と同じ“イチカワミツオ”という同音の名前を持つ市川光央だ。
高校の同じクラスになった、高飛車で俺様な態度の光央とはいつしか支配者と従者の関係になっていた。支配者・光央は従者・光夫を全裸にして体育倉庫に閉じ込めたり、暴力をふるったり、従者・光夫の彼女を当然のように寝取ったりするのだ。
でも、これはただのいじめではない。従者・光夫はこの関係性を嘆いているわけではなく、光央から支配されることに悦びを感じているのだ。言わばSMのような関係性。支配者・光央と彼女が寝た直後に従者・光夫も彼女と関係を持ち、彼女を介することで支配者・光央を感じ取ろうとするほどに。そんな彼らが高校以来、数年ぶりに衝撃的な再会をすることとなり、従者・光夫は逆らうことなく支配者・光央の共犯者となる。
(中編「さすが中村明日美子! 絶妙なバランス関係に唸る」に続く…)
『ダブルミンツ』は6月3日より全国公開される。
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