【映画を聴く】『ブランカとギター弾き』前編
盲目のギター弾きもスラム街の住人
長谷井宏紀監督は、映像作家/写真家として世界を旅しながら作品を制作してきた人で、初の長編映画となる『ブランカとギター弾き』には、監督がこれまでの旅で得た“出会い”が宝石のように散りばめられている。物語の舞台は、自身と縁の深いフィリピンのマニラ。すべてのキャスト、すべてのロケーションに必然が感じられる、力強くて優しい長編デビュー作に仕上がっている。
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2012年、長谷井監督はオールフィリピンロケによる短編、『LUHA SA DESYERTO(砂漠の涙)』を完成させており、本作で盲目のギター弾きのピーターを演じているピーター・ミラリは、その作品にも出演している。実際にマニラの路上でギターを弾いて生活しているピーターを本作のために再び見つけ出すのは難しかったらしく、朝の9時から夜の7時まで、2ヵ月半毎日スラムを歩き回ったという。「彼と映画を作りたい」という監督の思いから企画が立ち上がり、脚本も彼を想定して書かれているだけあり、ピーターの存在は見る者に強烈な印象を残すに違いない。監督がピーターを見つけた時、彼はマニラから3時間半のところにある村に住んでいたという。
本作ではピーター以外にもスラムの路上から監督が見出したキャストが多いが、ピーターを慕う11歳の孤児、ブランカを演じるサイデル・ガブテロは、YouTubeに自分の歌をアップしているのを見つけたプロデューサーが、監督に推薦。直感で「この子しかいない」と監督は思ったという。本作に出演後はフィリピンでミュージカル『アニー』などにも出演しているようだ。
(後編「ヒロイン少女の荒削りな歌いっぷりに期待が高まる!」に続く…)
『ブランカとギター弾き』は7月29日より全国公開中。
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