(…前編「ドロドロ劇はない、男性同士のピュアな恋愛模様」より続く)
【元ネタ比較】『花は咲くか』中編
全5巻を1本にまとめたせわしさが残念
日高ショーコ原作の人気BLコミックを実写映画化した『花は咲くか』。美大生の蓉一とサラリーマンの桜井のピュアなラブストーリーが描かれている。
・[動画]BL映画出演の渡邊剣と天野浩成、キスシーンの感想は?
原作の本編でははっきりと描かれることはなかったが、映画版では蓉一は同性が好きな男の子として描かれているので桜井を好きになることがすんなり受け入れられる。
蓉一は渡邉剣が演じ、相手役の桜井に扮するのは『仮面ライダー剣』などに出演の天野浩成だ。広告代理店で仕事に追われる桜井はやり手ではあるがガツガツしたところはなくちょっとくたびれていて、大人なのにすぐにムキになったりと子どもっぽい一面もある。そこがマイナスポイントというよりも母性本能をくすぐるような良さがあるのだけど、天野演じる桜井はキリッとしていてあまり隙がない。
もう少しダメな部分もある桜井を期待したのではあるが、天野の演技は危なげなく物語を引っ張っていってくれた。おかげで数回登場する男同士のキスシーンも変な気恥ずかしさはなく、純粋な恋愛のときめきとともに萌えるシーンとして印象に残った。
ただ、全5巻に渡る原作を1本の映画にまとめているために感情の流れがいささか唐突であることは否めない。蓉一に積極的にアピールする同級生の藤本に桜井が対抗心を燃やす過程や、また、蓉一の亡くなった両親や親戚との問題は割愛され、緩やかに進んでいくはずの物語はスピーディに展開する。
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