ドロドロ劇はない、男性同士のピュアな恋愛模様

#元ネタ比較

『花は咲くか』
(C)2018東映ビデオ (C)日高ショーコ/幻冬舎コミックス
『花は咲くか』
(C)2018東映ビデオ (C)日高ショーコ/幻冬舎コミックス

原作と映像化された作品を、重箱の隅をつつくように細か〜く比較する【元ネタ比較】。今回はBL原作の『花は咲くか』を紹介します。

【元ネタ比較】『花は咲くか』前編
『ジュウオウジャー』の渡邉剣が出演

特別に偏った趣味のヲタクでなくても、今や若い世代から主婦層にまでファンを広げているBL(ボーイズラブ)。中でも人気の高い、2人組の作家コンビ・日高ショーコ原作による「花は咲くか」が実写映画化された。

『花は咲くか』渡邉剣×天野浩成インタビュー

日高ショーコ原作では、名家の若き当主と執事を描いた時代物の「憂鬱な朝」の方が面白く、腐女子には人気が高いように思われる。しかし、逆に言えば腐女子でなくBL初心者でも入って行きやすく読みやすいのが「花は咲くか」だ。

「花は咲くか」は美大生の蓉一とサラリーマンの桜井がひょんなことで知り合い、年の差や社会人と学生のすれ違いなどを乗り越えながら、惹かれ合っていくというピュアなラブストーリー。恋愛のドキドキやもどかしさ、切なさが全5巻に渡ってゆっくりと丁寧に描かれ、万人に共通する古典的な恋愛模様はBL好きでなくても楽しめる内容だ。

同性同士だが、蓉一は他人に興味を持たずに人と距離を置くような性格の恋愛初心者で、ちょっと天然キャラで固定観念も薄いから自分の気持ちに葛藤することはなく素直。桜井の方も男の子の蓉一を好きになってしまったことに戸惑いはあるものの、仕事が忙しく女っ気はなかったようだし、同性であることを苦悩したりはしない。下手にネガティヴなドロドロ劇はなく、綺麗で純粋な恋愛模様に浸ることができる。

映画版では蓉一役を『動物戦隊ジュウオウジャー』などで活躍するジュノン・スーパーボーイコンテストのファイナリストでもある渡邉剣が演じる。美しいけど繊細で儚げな陰のある蓉一のイメージにはぴったり。ぶっきらぼうで寡黙な蓉一が無駄に暗く見えてしまうきらいはあるが、ゲイではない桜井が惹かれるほど魅力的な独特の透明感はよく出ていると思う(中編へ続く…)。

中編「気恥ずかしさはなく萌える男性同士のキスシーン」

INTERVIEW