原作と映像化された作品を、重箱の隅をつつくように細か〜く比較する【元ネタ比較】。今回はNHKドラマ『弟の夫』を紹介します。
【元ネタ比較】『弟の夫』前編
ゲイ・エロティック・アーティスト田亀源五郎の作品を映像化
田亀源五郎原作のヒットコミック『弟の夫』がドラマ化され、地上波ではなくBS放送ではあるが、トレンド入りするなど話題となっている。
『弟の夫』はタイトルが全てを語っていて、上手い題名をつけたものだと思う。弟の夫……ん? 弟ってことは男だよね? なのに妻ではなく……夫⁉と、引っかかりを持たせることでつかみはオッケー。そして、「“普通”なら妻なのに夫なんだ」と引っかかりを持つこと自体にハッとさせられる。自分は偏見はないつもりだけど、弟の夫だと“普通”とは違うと思っているんだな、と再認識させられる。
・ドロドロ劇はない、男性同士のピュアな恋愛模様『花は咲くか』
田亀源五郎はゲイ・エロティック・アーティストと名乗り、「さぶ」や「薔薇族」など老舗のゲイ雑誌でも作品を発表してきた国内外で注目される作家だ。その彼が一般漫画雑誌「月刊アクション」で連載していたのが「弟の夫」。第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞も受賞している。
恋愛を描いてるわけではなく、LGBTの問題を繊細に大胆に真正面から描いたホームドラマだ。主人公は小学生の娘・夏菜を男手ひとつで育てている折口弥一。突然、彼の元に双子の弟・涼二の夫であるカナダ人のマイクが訪ねてくることから物語は始まる。
弥一はあからさまにマイクに冷たくするわけにもいかず、大人な対応をするが、よそよそしい。しかし、夏菜は子どもらしい無邪気な好奇心でマイクに興味を示して懐いていく。マイクはグイグイと接するわけでもなく、礼儀をわきまえつつ、ときおり最愛の人にそっくりな弥一の中に涼二の面影を追いながら、夏菜の好奇心にはおおらかに応えてやる(中編に続く…)。
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