(…前編「絶妙すぎるタイトル! 偏見はない“つもり”の自分の無意識にハッとする『弟の夫』」
【元ネタ比較】『弟の夫』中編
主人公が代弁する、ゲイへ距離感
主人公・弥一の音信不通だった双子の弟──ゲイだった彼が死去し、シングルファザーの弥一と娘・夏菜を、“弟の夫”であるカナダ人のマイクが訪ねてくる。LGBTの問題を真摯に描いたヒットコミック「弟の夫」がドラマ化された。
・セクシュアル・マイノリティへの理解が進まぬ日本の現状を浮き彫りに
原作者の田亀源五郎はこの作品を「小学生が読める漫画」として描いたそうで、確かにその通りだ。LGBT入門といったふうで、夏菜が素朴な疑問を投げかけて、マイクは誠実に答える。「男同士で結婚できるの?」と聞けば「できます」と答え、「どっちが奥さんなの?」と聞けば「どっちもハズバンド=夫」と答える。
複雑な心境になるのは弥一だ。主人公の彼はマジョリティな思考で、おそらく多くの視聴者を代弁する存在だろう。ゲイに対して明らかな嫌悪感を態度に表したり、拒絶することはない。しかし、心の底から理解して受容しているわけでもなく、異質なものとして心の中では距離を取っている。
でも、マイクとの交流によって少しずつ少しずつ弥一の意識は変化する。マイクの存在は折口家の中だけに収まらず、周囲に波紋を呼ぶことになるのだが、そのことも弥一の意識を確立させていく。
そんな弥一の意識を変えたマイクは、弥一の肉親の涼二への愛を垣間見せる、優しくて温厚で気が良く、大柄な熊男タイプのキャラクターだ。実写化ではこのマイクを誰が演じるかがキモとなるところだが、元力士の把瑠都がハマり役でとてもチャーミングに好演している。
このキャスティングでドラマ化すると知ったときはその手があったか!と一本取られた気がしたが、把瑠都どれほど演技力があるのかと一抹の不安もあった。しかし、日本語はカタコトで良い役どころだし、そのためもあって演技力はさほど気にならない。エストニア出身の彼の英語が一本調子なのもご愛嬌だ(後編へ続く…)。
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